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ほしとたいようの診察室

第8章 入院生活は続く


……




走っていた。病院の廊下を。


長い廊下の先に、陽太先生がいて。
わたしは、うさぎのぬいぐるみを持っていた。



「ようたせんせ……!」



力一杯、叫ぶように呼ぼうとして、喉から血の味がせり上がる。


ゲホッ。


陽太先生が遠ざかる。
急いで追いつかなくては。ただそれだけ、何かの不安に駆られて、陽太先生の背中を追い続ける。


「よ……たせ……んせ……!!」


声を出す。でもこれ以上声は出ない。
足を動かす。いつの間にか歩幅は小さく、重くなる。
陽太先生は気づかない。
追いつけない、視界が歪む。




体が、ひどく熱い。





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