
ほしとたいようの診察室
第3章 お仕事&お仕事
数日間、同じシフトで動いていた小夜ちゃんとは、色んなことを話した。
気がつけば厨房ので働く人達からも、『のんちゃん』と呼ばれるようになっていた。
「のんちゃん、プリン好きでしょ? 注文入って取り出す時だけ、目の色違うよ」
小夜ちゃんが作業をしながらわたしに言った。
「うん。ここのプリンが忘れられなくて、就職したから」
「ほんと? ほんとに言ってるの?」
驚いた小夜ちゃんの手が止まる。
「……うん」
「すごい。ずっと好きだったなんて」
おちょくられてしまうかと思ったら、そんなふうに真剣に言ってくるから、照れてしまう。
「わたしは食べ物好きでこの仕事してるけど、1番大好きで忘れられないものってないなぁ」
少し、寂しそうに小夜ちゃんが笑った。
