ほしとたいようの診察室
第8章 入院生活は続く
「……末端まで血液が巡らない。こればっかりは、単純に酸素濃度を上げるだけじゃ解決しない。血液サラサラの薬を投与したいけどね。微調整しないと、今度はお腹に血液が溜まりすぎて……」
「子宮の方の治療が苦しいものになりますね」
大海先生としても、のんちゃんにとって苦しい治療は避けたいようだった。
「トリプルパンチだけは避けたいな」
優先生が言い、陽太先生が頷く。
カルテを入力しつつ、今朝の様子を共有する。
全員がため息をつきそうな顔をしていた。
「吹田先生。できることがあれば、いつでも声かけて。俺ものんちゃんの力になってあげたいし、入院生活が延びることがのんちゃんにとってかなりダメージになってしまうと思うから」
昨日、珍しくのんちゃんが小児科病棟へ陽太先生に会いに行ったと言う。のんちゃんも退院するために頑張ろうとしてくれている。
その気持ちの表れだろう。
ここが、退院までの道のりで一番の正念場だ……。
これ以上悪くならないことを祈りながら、今日からの治療計画を改めて4人で話し合った。
……
作品トップ
目次
作者トップ
レビューを見る
ファンになる
本棚へ入れる
拍手する
友達に教える