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ほしとたいようの診察室

第8章 入院生活は続く




「発作か、苦しいね」




ベッドからわたしの体を起こす。
水から引き上げられるように、呼吸が少し楽になった。本当に溺れていたようだ。



「お薬吸ったらちょっと楽になるから。口入れるよ」



素早く何かを咥えさせられる。



「のんちゃん、息吐いて」



言われるがまま、息を吐く。


「吸って」


プシュッ。
口の中に甘いような苦いような味が広がる。


「もう一回」


もう一回……?



「吐いて」



ふー……。


「吸って」



プシュッ。



「机に突っ伏そうか。その方が楽だから」



起こされた体を、そのまま机に突っ伏すような形にする。いくらか、寝ているより楽だった。
岸に打ち上げられた動物のように、弱い呼吸を繰り返しながら咽せる。

「せんせ……死ぬかと思った……」

呟くと、吹田先生は柔らかく笑いながらわたしの背中を撫でた。

「ごめんね、遅くなって」

言いながら、今度は鼻に酸素のチューブをつけていく。



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