ほしとたいようの診察室
第8章 入院生活は続く
「そのままでいいんだよ。のんちゃんは、それが嫌なのかもしれないけれどさ。俺は、どんなのんちゃんだったとしても、こうしてそばにいるよ」
穏やかに、迷いなく、陽太先生は言う。
陽太先生にとってわたしは、1人の子どもで1人の患者なのだろうか。
それ以上の存在になりたいと思う自分と、これ以上を望むのは危険だと思っている自分がいる。
『好きなら、なおさら』
もう一度、吹田先生の言葉が頭の中でこだまする。
……陽太先生は……どう、思っているんだろう……。
わたしは……どうしたらいいんだろう……。
陽太先生の気持ちを介さない限り、考えても仕方のないことを堂々巡りに考え始める。
目を瞑った。これ以上陽太先生と喋ったら、自分の気持ちを溢してしまいそうだったから。
寝たふりをする。
子守唄のように響くキーボードの音を聞きながら、深く呼吸をする。やがてその音は波のような音になり……わたしは本当に眠りに落ちていった。
……
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