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ほしとたいようの診察室

第8章 入院生活は続く



「冗談。もうわかったでしょ? 無断で外に出たらどうなるのか」


優しい表情のまま、そう言った。


「……はい」


布団を目元まで被ると、小さい声で頷く。


「それから俺や他の先生達も、すごく心配したこと、伝わったでしょ?」


処置室で待ち構えていた吹田先生と大海先生の顔を思い出して、


「……すみません」


頭まですっぽり布団を被る。


「それがわかれば良し。もうしないって約束して」




陽太先生が、ノックするようにつんつんと布団を触る。
何かと思ってそっと布団から顔を覗かせると、小指を差し出していた。


「指切りげんまん」


太く真っ直ぐ伸びた陽太先生の小指に、わたしは控えめに小指を絡める。



なぜか、その体温にほっとする。







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