
ほしとたいようの診察室
第4章 心と身体
陽太先生が腕時計を見る。きっと18時を回った頃だろう。
「……行こうか、病院。まだ間に合うよ」
陽太先生が、外の方へ顔を向ける。
夕暮れで西日が入るエントランスに、黙り込んだわたしが立ち尽くす。
「……」
なんて言ったら、この状況から逃げられるんだろうか。
「一緒に行こう」
もう一度、陽太先生が言う。
「いや、でもーーーー」
「でも、なに? なんて言おうとしてる?」
被せるように、少し強い声で陽太先生が言った。
「……」
用事があって。って言ったら……。
苦し紛れに言葉を繋げようと考える。
でも、それはすごく浅はかな考えだった。
