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ほしとたいようの診察室

第4章 心と身体




「陽太先生が今日明けだって聞いて、ちょっと外出ててもらってたんだよね」





……?!

思わず顔が上がる。
完全に吹田先生のペースに飲まれていく。


「げっ! たまたまじゃなかった……ってことですか……?!」


吹田先生の差し金だったのか……!と変な声が出る。


策士だ。

やはり吹田先生の監視は尋常じゃない。


「げっ、てなんだい。見張りだよ。のんちゃん見張り付けないとまだ診察に来ないと思ってね」


吹田先生はなんでもお見通し、と言った目でわたしを見て笑う。


「そんなこと……!」


ない、と言い切るには、心もとない。

言葉を詰まらせると、すかさず吹田先生が隙を詰めてくる。


「そんなことないって言いたいの? 家帰っちゃったのに?」


……何も言えなくなった。


「……っ!」

降参で白旗を上げる寸前のわたしを見て、吹田先生は厳しく追求することはしない。

余裕をたっぷり残して、わたしの正面に向き合った。



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