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ほしとたいようの診察室

第4章 心と身体


***


「はぁー、もー、のんちゃんどこ行った?」



小児科の午前の外来を終えると、蒼音くんから緊急の連絡が入った。

のんちゃんが病室から逃げ出したらしい。

急いでナースステーションに顔を出すと、小児科病棟の看護師たちが困り果てていた。

「小児科病棟、隅々まで探したんですが……どこにもいなくて。同室の子に遊んでくるって言ったっきり、どこか行ってしまったようで……」



あれはたしか、のんちゃんが5歳の時の夏。

入院していたのんちゃんが、脱走を図ったことがあった。



「まだ遠くには行ってないとは思いますが、万が一外に出てたりなんかしたら……」

看護師の1人が青ざめる。

外に行ってなくても、院内はそれなりに広い。


とんでもないかくれんぼに巻き込まれたと、その場の全員が思っていた。

「とりあえず、手分けして探そう。警備員さんに連絡して、出入口は見張ってもらって。……蒼音くんは?」

話しながら、連絡をくれた蒼音くんがいないことに気づく。

「もう一度、見落としてないか探しに出てます」


「わかった。とりあえず、俺も一緒に探すね」

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