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シャイニーストッキング

第8章 絡まるストッキング7      本部長大原浩一

 209 突然の…

「あら、疲れてるの?」
 そんな不惑な思いをしているから、どんどんときよっぺに突っ込まれてしまう。

「あ、いや、違うよ」
「でもなんか眠そうかも…」
「いや、大丈夫だよ」
 と、必死にいい繕う。

「でもそうよねぇ、わたしとだって二日連チャンだしね、それで今夜もお友達と…」
 お友達と…なんてところで言葉を切ってきたから、一瞬、ドキッとしてしまった。

「今夜はお友達と飲み会ですもんねぇ」
 と、続けてそう言い直してきたのだが、思わず慌ててしまったのだ。

 さすがにノンとの事はバレる訳がないのであるが、多分、自分の心がやましくて、そして罪悪感があるのだろう…
 何気ないきよっぺのそんな言葉にもいちいちドキドキしてしまうのである。

 ダメだなぁ、全然ダメじゃん…

 全然、尖れてないなぁ…
 自虐しかない。

「でもね…」
 すると私の隣に座ってるきよっぺは、そう呟きながらカラダを寄せてきたのだ。
 そして私の顔を見てくる。

「でもね…、でもさ…」
 なんとなく哀しそうな感じが伝わってきた、いや違う、これこそがきよっぺ特有の『愁い、憂い』の表情なのだ。

 なんだ…
 私の心が少し違和感を感じてくる。

「でもさ、大丈夫だから…」

「大丈夫って?」
 意味が分からない。

「うん、大丈夫なの、疲れてるでしょう?、安心して…」

 なんだ、何だろう?…

「わたしさぁ…
 さっきさぁ…」

 うん…

「あのさぁ…
 せ、生理に、うん、急に生理になっちゃったのよ…」

 あ、そういうことか…

「ホントはさぁ、あと一週間くらい先の予定だったのにさぁ…」
 と、最後の方は小さく、ポツリと呟いてきたのである。

「生理…か…」
 その言い方、呟き方が絶妙によかったみたいらしいのだ。
 
 本当残念だ…
 みたいに、きよっぺには偶然聞こえたようなのである。

「そうなの…
 ホント、ごめんなさい…」
 と、彼女はまさかの謝ってまできたのだ。
 
「あ、いや、そんな…」
 また、これが、いい感じの反応に聞こえたようなのであった。

 私的にはそんな事で謝らなくても…
 と、いう応えであったのだが彼女には『ヤれなくなって本当に残念だ』と聞こえた様である。

「本当にごめんなさい…」

 私は本当は内心ホッとしていたのである…
 



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