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シャイニーストッキング

第8章 絡まるストッキング7      本部長大原浩一

 237 律子の囁き

 まさか、ゆかりも…

 そう思ってしまうくらいに、この
『○○ゆうえんち』はローカルチックに有名なのだ。

 まさかそれは無いだろう…

 そしてそう思いながらサマーベッドに再び横になる。

 でも本当に律子のアグレッシブな行動力には驚かせられる…

 やはり、この帰省はある意味、女難なのであろうか…

 そういえばゆかりから二日間、夜の電話が無かったな…
 それにも違和感を少し感じていた。

 そして昨夜、きよっぺからもワンコールさえも無かったな…
 そう思ったのだが、律子とのまさかの対面の高ぶり、そして興奮の昂ぶりと、ここ最近の蓄積された疲れもあったのであろう、私はサマーベッドに横になり、再び午睡という睡眠の沼に沈んでいってしまう。

 そう、このプールサイドの木陰が堪らなく心地良い…

「ふうぅぅ……ぅ………」






「…………ちゃぁん…」

「…こっぺおじちゃぁん………」

「……あ…う、うん…………」

「こっぺおじちゃん、ほら、焼きそば」
 そんな甥っ子達の声で目が覚めた。

「あ、うん…」
 まだ覚醒し切れずにボーっとしていると
「はい、こっぺおじちゃん…」
 そう言って律子が焼きそばとコーラを手渡してきたのだ。

「あ、あ、うん…」

「あら、こっぺおじちゃんはビールの方が良かったかしら」
 そう言ってくる律子の声で意識がようやく覚醒してきた。

 そうだった、律子が居たんだっけ…

 そして、ふと見回すと律子はすっかり甥っ子達と姪っ子達と仲良くなっていたのである。

「お姉ちゃんが焼きそばとジュースとかき氷買ってくれたぁ」
 そう甥っ子の駿輔が言ってくる。

「あ、それは…」

「あら、こっぺおじちゃん、いいんですよ」
 そう笑顔で返す。
 
 すっかりこの『こっぺおじちゃん』が気に入ったようで、子供達と一緒に呼んできていたのである。
 そしていつの間にか律子の荷物とパラソルやサマーベッドも隣に引っ越ししてきていたのだ。

「なんか家族みたい、わたしがママで…」
 すると、律子がそう小さな声で囁いてきたのである。

「あ、え、うん…」
 私はその囁いてきた言葉にドキッとしてしまう。

 そうか…
 
 私は40歳…

 律子は28歳…

 甥っ子達は11歳…

 姪っ子達は9歳…

 あり得る…のである。





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