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シャイニーストッキング

第9章 絡まるストッキング8        部長佐々木ゆかり

 27 そういうこと…

「えっ、シたがるって……あっ……」
 
 えっ、まさか…

「はい、そうなんです…
 わたしぃ実はそういうの苦手でぇ…
 ダメなんですぅ…」

 そういうことかぁ…

「あら、まあ…」
 わたしはその越前屋さんの言葉を聞いて驚きと、そして妙に納得もしていたのである。

「それでヤらせないからぁ…
 結局フラれちゃうんですぅ…」
 恥ずかしそうに呟いてきたのだ。

 なんだぁ、結局はわたしのイメージ通りじゃないの…
 と、思わず笑いそうになってしまうのだが、必死に堪えた。

「でもゆかり室長ぉ、わたし処女ではないですからぁ」

「えっ…」

 すると、そんな衝撃のひと言を言ってきたのである。

「違うでしょう、一回だけシた事があるっていうだけでしょう」
 と、速攻で伊藤さんが脇から笑いながら言ってきたのだ。

「えっ…」
 わたしは笑ってよいのか戸惑ってしまう。

「はい、その初めての体験が余りにも痛くて、その後、怖くなっちゃって出来なくなっちゃったそうなんですよ」
 すると、伊藤さんは笑いながら言ってきたのだ。

「え、あ、そ、そうなんだぁ…」

 笑ってよいのか、驚くべきなのか、はたまたま同情すべきなのか?…
 わたしは悩んでしまう。

「ち、違うもん…
 ただ…いい人がいないだけだもん…」
 越前屋さんは少し口を尖らせ気味にそう言ってきた。
 そしてその言い方が、妙に可愛いかったのだ。


 なんだ…

 やっぱり…

 越前屋さんはわたしのイメージ通りにかわいいじゃないか…

 彼女には悪いが、わたしの心がほんわかと和んできていた。

「いい人か…
 なんかやっぱり越前屋さんは可愛いくて面白いわ…」
 わたしは笑いながら、思わずそう言ったのだ。

 そして…
 
「じゃあさぁ、越前屋さんはどんな、タイプの男が好みなの?」
 訊いてみる。

 実は…

 わたしは…

 ワクワクしてきていた…

 そして、この越前屋さんと伊藤さんとのこんな会話が楽しくて仕方がなくなってきていたのである…
 ふと過去を思い返してみても、こんな女子会的なトークなんて、高等部時代以来なのだ。

 それ以降のわたしは、いや、大学時代からは夜の渋谷、六本木界隈のディスコクィーン『姫』だったから、周りには下心いっぱいの男達しかいなかったのである…

 




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