
シャイニーストッキング
第9章 絡まるストッキング8 部長佐々木ゆかり
49 口止め
「うわぁ、こんな目の前で揚げる天ぷらなんて食べた事ないっすよぉっ」
と、杉山くんは感嘆の声を上げてきた。
わたしと杉山くんは、赤坂のテレビ局の前にある高級天ぷら店でお昼を食べていたのだ。
「そうなの、それはよかったわ…
でも、これはアレだからね…
さっきの口止めの奢りだからね…」
「あっ、はいっ、分かってますから、絶対に誰にも言いませんっす」
そう杉山くんは応えてきた。
「あんな再会はたまたまだし、本当に大学時代の、もう大昔の事だから…」
「あ、はい、分かってます」
杉山くんには、『三山蓮太郎』とは、元々、大学時代の先輩後輩の間柄だから…
と、簡単に説明をしたのだが、同じ大学の二年違いである事は本当であった、ただ現実的にも大学での関わりは一切なく、あのディスコの『六本木クラブJ』でしか彼とは交流は無い。
正真正銘のわたしにとっての過去の消し去りたい『黒歴史』の生き証人なのだ…
だからこそ、今回の、この偶然の再会について、他の誰にも知られたくなかったのである。
「絶対に秘密にしてよね」
わたしは杉山くんに、更に念を押す。
「はい、大丈夫っすから、逆にこんな高級天ぷらご馳走になっちゃって恐縮っす」
と、本当に嬉しそうに食べながら話してきた。
「だいたい天ぷらなんて母ちゃんの天ぷらしか食った事ないっすから、あとは立ち食いそばのかき揚げくらいっす」
本当にこの杉山くんは面白く、明るくて愉快であり、越前屋さんに男女は違えども良く雰囲気が似ている…
と、彼の顔を見ながら思っていた。
そして、本当に鈍感で助かった…
とも考えていたのである。
それに、彼、あの『三山蓮太郎』が、わざとらしくわたしを『ゆかり姫』と言ってきていた事には、全く違和感を感じていないようでもあるみたいで、本当に助かっていた。
普通だったら、速攻で違和感を抱き、わたしと彼の関係について訊いてきても当たり前であり、そしてどうやら彼は、それも狙いの上での『ゆかり姫』の呼称の連呼である様な感じもしたのだが…
なんにしても、同席していたのがこの男女間の事にはとにかく鈍感な杉山くんで本当に助かったのである。
そしてもう一つ…
「うわぁ、こんな目の前で揚げる天ぷらなんて食べた事ないっすよぉっ」
と、杉山くんは感嘆の声を上げてきた。
わたしと杉山くんは、赤坂のテレビ局の前にある高級天ぷら店でお昼を食べていたのだ。
「そうなの、それはよかったわ…
でも、これはアレだからね…
さっきの口止めの奢りだからね…」
「あっ、はいっ、分かってますから、絶対に誰にも言いませんっす」
そう杉山くんは応えてきた。
「あんな再会はたまたまだし、本当に大学時代の、もう大昔の事だから…」
「あ、はい、分かってます」
杉山くんには、『三山蓮太郎』とは、元々、大学時代の先輩後輩の間柄だから…
と、簡単に説明をしたのだが、同じ大学の二年違いである事は本当であった、ただ現実的にも大学での関わりは一切なく、あのディスコの『六本木クラブJ』でしか彼とは交流は無い。
正真正銘のわたしにとっての過去の消し去りたい『黒歴史』の生き証人なのだ…
だからこそ、今回の、この偶然の再会について、他の誰にも知られたくなかったのである。
「絶対に秘密にしてよね」
わたしは杉山くんに、更に念を押す。
「はい、大丈夫っすから、逆にこんな高級天ぷらご馳走になっちゃって恐縮っす」
と、本当に嬉しそうに食べながら話してきた。
「だいたい天ぷらなんて母ちゃんの天ぷらしか食った事ないっすから、あとは立ち食いそばのかき揚げくらいっす」
本当にこの杉山くんは面白く、明るくて愉快であり、越前屋さんに男女は違えども良く雰囲気が似ている…
と、彼の顔を見ながら思っていた。
そして、本当に鈍感で助かった…
とも考えていたのである。
それに、彼、あの『三山蓮太郎』が、わざとらしくわたしを『ゆかり姫』と言ってきていた事には、全く違和感を感じていないようでもあるみたいで、本当に助かっていた。
普通だったら、速攻で違和感を抱き、わたしと彼の関係について訊いてきても当たり前であり、そしてどうやら彼は、それも狙いの上での『ゆかり姫』の呼称の連呼である様な感じもしたのだが…
なんにしても、同席していたのがこの男女間の事にはとにかく鈍感な杉山くんで本当に助かったのである。
そしてもう一つ…
