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シャイニーストッキング

第9章 絡まるストッキング8        部長佐々木ゆかり

 55 大原本部長との電話(8)

『え…、あ、うん…』
 突然の話題の振り代えであったのだが、すんなりと言葉を返していく。

 それは今夜はこれ以上、彼を弄るのは流石に可哀想に感じたからだ…

『うん、かなりまとまったわ、後は細かい金額の設定と、そして開始時期と、契約期間の問題かなぁ…
 要は、専属での契約になるのか?
 それとも需要のみの単発になるのか?かなぁ…』
 と、お台場のテレビ局と今日の赤坂のテレビ局でのプレゼン会議と、その反応をざっくりと説明した。

「うん、そうか…」
 すると、その進展の内容が彼の想像以上だったらしくやや驚いた反応をしてくる。

『とりあえずねぇ、お台場のテレビ局の流れ次第になるかもしれないのよね…』
 それに応えてわたしはそう言った。

 そう、お台場のテレビ局…
 それはそもそものこの仕事、つまり、この『新規業務案件』の話しのきっかけとなる営業社員の杉山の父親のいるテレビ局である。
 そしてその父親はなんと、そのテレビ局の報道局長という重要な役職に就いており、ひとえには我が社のコールセンター部に所属している自分の息子の為に…                  
 と、いうきっかけであるのだ。

 だが営業は結果が全てなのである…
 その契約までの経過はさほど重要ではなく、その結果、売り上げ、利益が最優先事項なのである。

 だがら、例え、親子の縁であろうが、縁故であろうが、理由などはどうでも良いのだ…
 そしてその結果、成果、成績は、まずはその部署の責任者であるコールセンター部部長のわたしの営業実績の成績と本社は判断をするのである。

 つまりはこの先へのキャリアアップへの一つの、いや、大きな材料となるといえるのだ…
 そしてもちろん、その契約を確保してきたきっかけを作った杉山くんの営業成績の査定アップに大きく影響するし、また、この売り上げはかなりの彼のステップアップにも影響を与えるといえた。

 更にもう一つ並行して進んでいる
『新規事業計画プロジェクト』の成功が、これもまた責任者であり、プロジェクト室長であるわたしの確実なキャリアアップへの材料になるのは間違いがないのだ。

 また、それを彼が、大原本部長がカバーをし、責任のケツ持ちをする…
 




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