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シャイニーストッキング

第9章 絡まるストッキング8        部長佐々木ゆかり

 103 黒歴史…(38)

 蓮との関係の終止符を決定付ける出来事が起きたのは、大学3年の夏休みが間もなく終わるという9月中旬の頃であった…

 わたしはそんな感じで蓮との関係にも飽きがきていて、惰性的となっている事にも自覚していた。
 そして蓮はわたしのそんな心情の変化を察知し焦ったのか、とうとう、わたしにとっては禁断の『コーク』つまり麻薬である『コカイン』の誘いをしてきて、それににも辟易していた時期でもあったのだ。

 そこでまたちょうどそのタイミングで、わたしのディスコクラブでの取り巻きの男の一人である某大手不動産会社の2代目坊ちゃん専務からの、伊豆の別荘でのスキューバダイビングライセンスの取得の誘いがあったのである。

 そしてわたしは喜んでその誘いに乗る事にした…

 だが、例え、いくら蓮に飽き、そして重度なマザコンに辟易し、最悪なコカインの誘いがあったとしても、高級大麻樹脂という存在はその当時のわたしにはまだまだ魅力的であったし、このひと夏の約三ヶ月間、二人で濃密な時間を過ごした訳であるから、そう簡単には終わりには出来ない…
 と、いう想いや感情は湧いていた。

 だから、この伊豆へのスキューバダイビングライセンス取得の誘いがちょうど良い心の冷却期間になるのではないのか…
 そうも考えていたのであった。

 そんな事を考えていたタイミングで蓮から連絡を貰ったから、ちょうど伊豆に出掛ける前にと想い、蓮の大豪邸である自宅に伺ったのである。

 そして、玄関で呼び鈴のチャイムを押し、インターホンで来宅を告げると、玄関のロックが開錠され、玄関ドアを開けた…

「こんにちは…」

 玄関ドアを開けるといつもの様に、母親あり、大女優である『三山圭子』に女装して本人になり切った圭子が立っていた。

「あ…」

 え…

 違う?…

 え、圭子じゃない?…

 え、誰?…


 
「アナタがゆかり姫さん…なの?」
 
「あ…え…は、はい…」

 そこにはホンモノの…

 大女優である『三山圭子』本人が立っていて、そうわたしに訊いてきたのだ… 

 え?…

 な、何?…

 本人だ…







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