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シャイニーストッキング

第9章 絡まるストッキング8        部長佐々木ゆかり

 130 高まる気持ち

「プファー、やっぱり生ビールはこの一口目が堪らないわねぇ」
「いや、そうっスね、美味いっス」

 とにかく生ビールが美味しい…

「さぁ、何でも好きなモノ頼んで」
 と、そうわたしが言うと
「あ、いや、今夜は俺が部長にご馳走するんスからぁ、それは俺のセリフっスよぉ」
 と、苦笑いしながら言ってきた。

「あっ、そうだったわ、じゃあ遠慮なく頼んじゃうわよぉ」

 女将さんの越前屋朋美譲りの明るさと、この目の前にいる杉山くんの魅力、そして冷たい生ビールが、わたしの寂しい気持ちを拭い去ってくれたようであった…
 ようやく気持ちが高まってきたのである。



「あぁ、でもやっぱりぃ、部下にしか見えないのかぁ…」
 一通りおつまみを注文し、わたしはウーロンハイ、杉山くんはレモンサワーと二杯目を飲みながらそう呟くように言ってきた。

 どうやら女将さんの言葉を気にしているようであった…

「ほらぁ、昨日も今日もわたしもそう言ってたじゃん」
 わたしは軽く返す。

「今、俺は24、あと少しで25歳になるんスけど…」

 わたしは30歳である…

「でも、世の中には4、5歳年下のカップルなんて普通にいるじゃないっスかぁ…
 ましてや部長は若く、26、7歳に見えるしっ」

 若く見てくれるのは嬉しいのだが、どうやら25歳ではないようだ…

「なのに………
 釣り合わないのかぁ…」

 杉山くんが熱くなってきていた…

「何が、なにが足らないんスかねぇ」

「きっと、シロウト童貞だからじゃないのぉ?」

 わたしは軽い冗談のつもりでと、熱くなってきていた杉山くんを冷ます意味でそう言ったのだが、通じなかった…

「やっぱり、そうなんスかねぇ」
 と、真剣な面持ちで言ってきたのだ。

「えっ、あ、いや、冗談よ…」

 慌ててそう言うのだが、彼の熱さは冷めない、いや、覚めない…

「やっぱり、女の一人や二人を口説いて、経験しないと男が、男って上がらないのかなぁ?」
 宙を見ながらそう言ってくる。

「ねぇ、ねぇ、あのさぁ…」
 そこでわたしもどうやら杉山くんが真剣に悩んでいるようなので、真面目に相手をしてあげる事にした。
 
 そして、こんな男女の話しはお酒の席では最高に楽しい…




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