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シャイニーストッキング

第9章 絡まるストッキング8        部長佐々木ゆかり

 131 「俺だけなんス…」

「ねぇ、ねぇ、あのさぁ…」
 そこでわたしもどうやら杉山くんが真剣に悩んでいるようなので、真面目に相手をしてあげる事にした。
 
 そして、こんな男女の話しはお酒の席では最高に楽しい…

「ねぇ、あのさぁ…
 このコールセンター部はさぁ、貴方達営業課員以外は全員女性じゃない?…」
「あ、はい…」
「まあ、彼女達の殆どは人材派遣だけどさぁ…」
「はい…」

「そこでさぁ、彼女達と合コンとかしないの?」
 これは以前からのわたし個人的な素朴な疑問であったのだ。

「あ、いや、してますよ…
 うーん、4、5回はしてるかなぁ…」
「えっ、してるんだぁ」
「あ、はい、してます」

 どうやらわたしが知らなかっただけのようであった…

「それでさぁ、彼女とか出来ないの、いや、出来なかったの?」
「いや、出来てます…よ
 あ、鈴木さんの今の彼女がそうっス」

「えっ、鈴木くんの?」

 鈴木くんとは同じ営業課員の一人であり、確か28歳だったか…

「それに山中さんもこの前別れたって…」

「山中くんもなの?…」
 
 山中くんも営業課員でわたしの一つ下の29歳だ…

「ていうかぁ、俺だけなんス……」
 と、杉山くんはやや暗いトーンでそう呟いてきた。

「なんだぁ、みんなやることはやってるんだぁ…
 わたしが知らなかっただけなんだあ…」
 わたしは務めて明るく言ったのだ。

「なぜか、俺だけモテないんスよねぇ」
 でも、そんなわたしの明るい言葉を無視するかのように杉山くんは続けてくる。

「でもさぁ…
 わたし的にはさぁ、鈴木くんや山中くんより杉山くんの方がいいと思うけどなぁ…
 見た目もそうだし、何より若いし…」

「でも…モテないんス……」
 だが、杉山くんのどんより感は消えない。
 実はかなり気にしているようであった。

「なんだぁ、わたしも誘って欲しかったなぁ…
 実は合コンなんて参加した事ないのよねぇ…」
 そう言ってみた。
 すると…
「いや、部長はさすがに…
 あの頃は課長だったけど、何しろ
『鉄の女』だったスから……あっ…」

 懐かしい『鉄の女』というワードが出てきた…




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