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シャイニーストッキング

第9章 絡まるストッキング8        部長佐々木ゆかり

 136 本音のカミングアウト

「その時さぁ…」
 わたしはジィッと杉山くんの顔を見つめていく。

「…………」

「その時さぁ、わたしのオッパイを、いや胸をさぁ、少なからずも触ったわよねぇ」
 
「あ、いや、それは…」
 触るではなく、触れてしまう…
 それはやむを得ない事ではあるのだ。

「そしてさぁ、わたしを抱きかかえたって事はさぁ、お尻も触っちゃうわよねぇ…
 脇も触るし、わたしの脚にも触れちゃうわよねぇ…
 そしてわたしのカラダ全体を感じ、そして体臭も感じちゃうわよねぇ?…」

「あ、はい…」

「違うのよ、怒ってる訳じゃないのよ…   
 それは仕方ない事だし、逆に介抱してくれて感謝してるんだからね」

「は、はい…」

「で……どうだった?」

「え?…」

「わたしに触れて、感じて、嗅いで…どうだったのよ?」

「あ、いや…
 あぁ…そ、それは、そのぉ…」
 どぎまぎ慌ててくる。

「どうだったのよ?」

「あ、はい…
 ドキドキして、ワクワクして、バクバクしました…」
 面白い表現だけど、気持ちがよく伝わってきた。

「で?…」

「えっ?…」

「それだけなの?…」

「え?…」

「だってさぁ、憧れの上司が酔い潰れて意識を無くしちゃってさぁ、ベッドで横になってるのよ、それもホテルの部屋で…
 キミの目の前で…」

「あ、いや、それは…」
 目がキョロキョロと激しく泳いでいる。

「なんかさぁ、悪い事は思い浮かばなかったの?」
 わたしはジィッと見つめていく。

「あ、いや、あ、そ、そのぉ…
 お、思いましたぁっ」
 と、杉山くんは叫ぶように言った。

 本音のカミングアウトである…






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