テキストサイズ

シャイニーストッキング

第9章 絡まるストッキング8        部長佐々木ゆかり

 150 美冴さんとの電話(8)

「うん…
 とにかく相手に言わせれば8年越しの想い…
 つまり、ヤリたいを叶えられれば本人なりに落ち着いて、想いにケリが付けられるのね…
 いや、付けられた…のかなぁ」

 確かに健太は、そう言ってはいた…


『でもそれで、いや、それからは落ち着いたんですか?』
 意外に美冴さんは、そんなわたしの言葉に食らい付いてくる。

 リアルに、思い当たっているのかもしれない…

「うん、落ち着いたわ、そしてパワーバランスもわたし自身が優位のままに…」

「パワーバランス…」

「そう、パワーバランスよ…
 でもね、あくまでも最後に一度だけヤラせてあげる…ってスタンスは維持した上でね…」


 そして間を少し開けて…
「とにかく男はさぁ、射精しないと、いや、射精さえさえすれば…
 殆どは、大人しくなるものなのよ…」

 これは、わたし自身の昔の黒歴史時代の経験からの持論であった…
 とにかく男の殆どはヤらせれば大人しくなる、言う事を訊くようになるのだ、いや、なったのだ。

『な、なるほど…』 
 美冴さんは納得し、すっかり感心してしまったような声で呟いてきた。

「大切なのはヤラせるまで、射精するまでの自分優位のパワーバランスを保つ事かなぁ…
 最後だから…
 仕方がないから…
 みたいな、恩着せがましく、敢えて、わざとするのよ…」

『なるほど…』
 美冴さんはすっかり納得した様な声でそう呟いてきたのだ。

「美冴さんの元カレは5年越しなんでしょう?
 ヤラせてあげるのよ、そうすれば相手の元カレはスッキリして諦めるから…
 その後は、多分、いい距離感になれると思うけどなぁ…」

 今のわたしと武石健太の関係が…
 健太との距離感が、正にそうなのである。

 健太はわたしを8年間も追い続け、ヤリたかったのである…
 そして念願叶ってわたしと再会を果たせ、とりあえずセックスは出来なかった訳だけれども射精せたのた。

 いや、あれが、あの口唇愛撫による二人の過ごした時間は、健太自身にとってのセックスだったといえたのかもしれない…
 だからあの後健太は、すんなり落ち着けたのかもしれない。

 そしてきっとその想いを達成させてあげさえすれば、その元カレなんかは必ず従順になりそうな気がしたのだ…

『そうかぁ…』
 するとそう呟いてきた。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ