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　192　鈴木くんの話し

「ふうん、そうなんだぁ…
　今からデートなんだぁ、いいなぁ…」
　と、わたしは思わず呟いた。

「あ、はい、まぁ、そうなんです」
　鈴木くんは恥ずかしそうにそう言ってくる。

「そうなんすよぉ、いいっすよねぇ」
　本当に杉山くんは明るくて面白い。

　そしてわたしは、アナタは、せっかくの休みなのに書類を？…
　と、いう意味を込めて杉山くんを見ると
「あ、ちょっと見積もりが気になって、つい…
　それにやること無いし、せっかくだから部長の顔を見ようって」
　と、照れくさそうに、そして明るく言ってきたのだ。

「そ、そんな、わたしの顔なんて…」
　つい、気恥ずかしくなり、そう返す。

「いや、連チャンで部長と一緒にいたっすから、今日、なんだか寂しくってぇ…
　それに俺は、あ、鈴木さんも佐々木部長派なんでぇ」

「もおちょっとぉ、止めてよぉ…
　連チャンって、仕事じゃないのよぉ、変な言い方しないでよぉ…」
　と、わたしは杉山くんの明るさとノリに吊られてしまったのか、そんな感じで軽く、そして明るく応えた。

「ね…」
　すると杉山くんが、そう言って鈴木くんの顔を見て頷いたのだ。

「え…」

　ね…って、なに？

「本当だ」
　すると鈴木くんがその杉山くんの頷きに、そう応えてきた。

「え、なに、本当ってぇ？」
　思わずわあしは問いかける。

「いや、やっぱり佐々木部長は変わったなぁって…」
　なんと、鈴木くんがそう答えてきたのだ。

「えっ、変わった……って？」
　わたしはドキッとしてしまい、思わず訊き返す。

「いやぁ、ついこの前までの佐々木部長は、なんとなく近寄り難いっていうか、話し掛ける処か、なんかそのぉ…」
　鈴木くんがそう言ってきた。

「ああ『鉄の女』の事ね」
　言い辛そうだからわたしから云ってあげる。

「あ…ま、そうですね…
　でもここ最近、そう
『新プロジェクト』の室長に抜擢されたころから変わったっていうかぁ、柔らかくなった感じでぇ…」

　要は、わたしが変わった、丸くなったと云ってきたのである…

「だから、ついこの前までは、そう簡単に話せなかった、いや、話し掛けるなオーラを感じていたんですがぁ…
　杉山が全然っすよぉって云ってきたから…」

「全然っすよぉって…」

　思わず笑ってしまう…