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シャイニーストッキング

第9章 絡まるストッキング8        部長佐々木ゆかり

 193 杉山くんの明るさ

「だから、ついこの前までは、そう簡単に話せなかった、いや、話し掛けるなオーラを感じていたんですがぁ…
 杉山が全然っすよぉって云ってきたから…」

「全然っすよぉって…」
 思わず笑ってしまう。

「あ、それ、そんな部長の笑顔も今まではあまり見たこともなくて…」
 と、鈴木くんは話してきたのだ。

「いやぁ、最近の部長はよく笑う様になったっすよぉ」
 今度は杉山くんがそう云ってきた。

「そ、そうかしら…」
 
 わたしは本当は、それらを自覚していたのだが、恥ずかしくてトボケる…

「そんな部長の変化を鈴木さんと話していたんすよ」

「もおヤダわ、そんな変わってないから」
 わたしは完全に照れ隠しをする。

「うわ、ヤバっ、ヤバいっすよ」
 すると杉山くんはそう言ってきたのだ。

「え、ヤバいって何が?」

「えー、その笑顔っすよ…
 ねぇ、鈴木さん…」
 と、杉山くんは鈴木くんに同意を求める。

「うん、ヤバかった」
 すると鈴木くんまでがそう言ってきたのだ。

「もお、怒るわよ、二人してわたしを揶揄ってぇ…」
 わたしはそう言うしかなかった。


「いや、とにかく部長の魅力が爆上がりっすよぉ…
 だから俺はひと目見ようって、鈴木さんを誘ってきたんすよ」

「もお、こら、調子に乗って」
 だが、わたしは怒ってはいなかった。
 逆に、そんなことを言われて内心は少し嬉しかったのだ。

 だけど照れ隠しをするしかなかった…

「あ…、お、お疲れさまです…」
 すると、朝、トイレで少し話したオペレーターの彼女が部長室を覗きながらそう声を掛けてきた。

「あら、貴女は…」

 そうか、彼女が鈴木くんの…

「はい…松山美咲です」
 彼女はにこやかな笑顔で名乗ってきたのだ。

「あら、そうなんだぁ…」
 と、わたしは彼女と鈴木くんの交互の顔を見ながら、そう呟いた。

「あ、はい…」
 すると鈴木くんは照れくさそうに返事をしてきたのだ。

 なんとなく、まだ、付き合い始めたばかりの初々しさを感じる…

 そして無意識に杉山くんの顔を見てしまう…

「あぁ、部長、今、馬鹿にしたっすね」

「え、いや、してないわよ」
 わたしはすっかり杉山くんの明るいペースに、そしてテンションの高さに吊られてしまっていた。
 
 だが…

 それも楽しい…




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