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シャイニーストッキング

第9章 絡まるストッキング8        部長佐々木ゆかり

 203 絡み…

「きゃぁ美咲ちゃんって呼ばれたぁ」
 本当に可愛いい…

「美咲も、馴れ馴れしいぞ」
 鈴木くんがボソッと突っ込む。

「あ、はぁい…」
 すると彼女はペロリと舌を出してそう返事をする。

 おや、なかなかいい感じのカップルじゃないの…
 思わずわたしはその二人を見てそう思う。

「そうかぁ…
 そうっすよねぇ…
 部長ってぇ、凄いんすよねぇ…
 それにぃ、テレビ局に同行しても…」
 すると杉山くんがそう話してきた。

 あ、ヤバい…

 この流れで、つい、あの俳優の
『三山蓮太郎』や『稲葉ディレクター』の事を…
 と、わたしは一瞬にして焦ってしまう。
 そしてわたしは慌てて、多分、無意識だったのだが、テーブルの下で思わずわたし自身の脚を杉山くんの足に絡めたのだ。

「テレビ局でも…あ……」
 わたしの絡まってきた脚を感じた杉山くんは、ハッとした感じで、そこで言葉を飲み込んだ。
 
 内緒だからね…
 と、いうわたしの言葉をこの脚の絡まりにより、瞬時に思い出した様であった。

「あ、いや、テレビ局の会議でも…すっげえかったんす」
 と、慌てて言い換える。

「え、すっげえかったんすって何だよ?」
 すかさず鈴木くんが突っ込みをしてきた。

「あ、いや、つ、強気、そう強気で、あっという間に相手を呑んじゃったんすよぉ」
 
 ナイスな言い換えだ…
 わたしはその杉山くんの言葉にホッとする。

 できれば、このお喋りな彼女には、あの俳優の『三山蓮太郎』と知り合いだったという事は知られたくなかったのだ…

 そしてそのギリギリの踏み止まりを誉める意味で、わたしはテーブルの下で左手の指先を杉山くんの右手に触れ、絡めたのだ。

「ぁ……」
 すると杉山くんは小さくビクッと反応する。

 さすが、ウブな『シロウト童貞』らしい反応であった…

「すいませーん、スパーリングワインお代わりください…
 あ、みんなもどんどん飲んでね」
 と、わたしは流れを代える意味でもオーダーをしていく。

 せめてテレビ局の話しは代えたかったのだ…

「あ、じゃ、わたしはカシスオレンジで」
 やはり彼女は可愛いカクテルを頼んでくる。

「俺はジントニックを…」
 鈴木くんが頼む。
 
 わたしはさりげなく横を見ると、杉山くんはこの突然の脚の絡み、指先の絡みに固まっていた…



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