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シャイニーストッキング

第9章 絡まるストッキング8        部長佐々木ゆかり

 204 徹底した意識…

 わたしはさりげなく横を見ると、杉山くんはこの突然の脚の絡み、指先の絡みに固まっていた。

「ほら、杉山くんは何を飲むの?」
 わたしは助け船の意味で訊いてあげる。

「…あ、は、はい、お、俺もスパーリングワインを…」
 少し、杉山くんにはこの脚、指先の絡めは刺激が強過ぎた様であった。

 そしてしばらくは杉山くんは大人しくなってしまう…
 あくまでもさっきの口止めの意味の絡めだったのだが、あまりにも杉山くんの反応が面白く、わたしはまだ絡めを続けていく。

 本当に杉山くんはかわいい…

 だが、杉山くんが大人しくなっても彼女のお喋りが止まらなく、杉山くんの静かさが全く目立たないのだ。

「そういえばぁ、佐々木部長、予定無いって言っていましたけどぉ、彼氏さんとはぁ?」
 と、ストレートに訊いてくる。

「え、あ、わたしは彼氏居ないし…」
 すかさず応える。

「ええっ、マジですかぁ、こんな美人さんなのにぃ」

「うん、マジっす…」
 わたしは杉山くんを真似て応える。

「もおウソみたぁい…
 実はぁ、前にぃ、コールセンター部内では、大原部長、あ、今は本部長か…と、佐々木部長が絶対に出来てるってぇ、噂になってたんですよぉ…」

 わたしは思わずドキッとしてしまう…

「えっ、そ、そうなの?」

「あ、はぁい、そうなんですぅ…
 それにぃ、当時は佐々木部長は課長だったけど、そもそもが課長も大原本部長の引き合いって誰かが言い出してぇ」
 
 確かに、少し前までは、いや、多分今もだろうが、わたしの昇進は大原本部長のお陰、引き合いと噂されているのは理解できる…

「それでぇ、コールセンター部のスタッフもそんな二人を意識して見ていた時期があったんですけど、全く、そんな気配さえ無くて、ガセネタって…」

 やっぱり皆、普通にそう思うに決まっていたのだ…

 よかった、徹底して意識して…
 と、内心、そう考えていた。

「うん、まぁ、よく云われるし、今も本社ではそう云われているのも知っているわ…」
 わたしは上手く誤魔化す為に、定番のワザを使う。

「でもね、わたしは今、山崎専務派なのよ…
 つまりどちらかというと山崎専務の引き合いが強いかなぁ…」
 今や本社内で山崎専務派、つまりは副社長派閥が絶対的勢力なのは周知の事実となっているのだ…




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