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シャイニーストッキング

第9章 絡まるストッキング8        部長佐々木ゆかり

 211 手の熱さ…

 不意に太腿に置かれた手の感触に再び、戸惑いと、動揺と…

 昂ぶりをも…
 感じてきてしまっていた。

 そして…

 杉山くんの熱さ、想いの熱さも伝わってきた…


「そうっすよ松山さん、頑張って実績残したら、もしかしたら美冴さんみたいに……ねぇ、部長ぉ」
 すると杉山くんは、わたしの太腿に手を置いているなんて全くの知らんぷりな、とぼけた顔でそうわたしに振ってくる。

「え、あ、うん、そうねぇ…」
 わたしはドキドキしながらもなんとかそう応えたのだが…
 すっかり杉山くんのペースにハマってしまっていた。

 強烈な反撃だわ…
 そしてそう思った瞬間に、わたしは杉山くんからオスの匂いを感じてしまったのである。

「うわぁ、美冴さんみたいに……かぁ」
 彼女は声を上げる。

 そう美冴さんは今や、派遣社員達の『希望の光』的な存在になっていたのだ…
 それはそうであろう、イチ派遣社員だったのが突然、正社員雇用制度により引き上げられ、そして『新プロジェクト』の一つのセクションの主任になったのだから。

 主任は、ある意味、係長待遇と同列なのである…
 正に、サクセスストーリーといえるのだ。

「頑張らないとなぁ」
 と、鈴木くんは彼女にそう声を掛け、肩に手を置く。
 すると彼女は嬉しそうに、満面に笑みを浮かべてきた。

 そんな二人を見て、わたしは対照的に焦りの想いを高まらせてしまっていた。

 ああ、どうしよう…
 そしてわたしは急に、昂ぶりまでも感じてきつつあったのだ。

 それはきっと二度に渡る彼、大原本部長との逢瀬のキャンセルと、不意に出現してきた過去の黒歴史の生き証人といえる存在の二人が現れ動揺し、それにより過去の悪さを、つまりはわたしの大学時代の性的な衝動、そしてその衝動の導きによりしてきた『大麻による決めセク』といえる背徳的なセックスの数々を、この二日間に想い返してしまった事の影響もあったのだと思われる。

 そして、今夜、早々の時間帯に彼女が言った『杉山くんは弟みたい…』という言葉に油断した反動もあるのだと思う。

 それが、逆にこの固くブロックしてきた脚の絡みや、不意に置かれた手の感触に異常に反応、いや、感じつつある感覚の現れにより余計に杉山くんに対しての『オス』としての意識の昂ぶりの要因の一つなのだと思われた…
 



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