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シャイニーストッキング

第9章 絡まるストッキング8        部長佐々木ゆかり

 213 艶々な…

 少し、からかいが過ぎちゃったみたい…

 だから杉山くんに火を点けてしまったみたいだ…
 と、わたしは少し落ち着き、冷静になってそう考えた。

 そうよね…

 杉山くんだって男なんだ…

『弟みたい』とか『シロウト童貞』とかに油断してしまったんだわ…

 悪いことしちゃったかなぁ…
 と、わたしは少し反省をする。

 だが、あの不意な反撃は、今日のわたしの心境、心情には強烈だったのだ…
 そしてそのまま個室に入り、下着を下ろしてチェックをする。

 あ、大丈夫だった…

 実は今朝の電車内での不惑な昂ぶりにわたし自身は欲情の昂ぶりを覚え、濡らしてしまい、生理用品を当てていたのであるが、その後の淫れは無かった。

 さすがに、あの位では、そして杉山くんにはそこまでは昂ぶらなかったか…

「よし…」
 わたしはトイレを済まし、少しだけ口紅を塗り、グロスを重ねて席へと戻る。

「ごめんなさいね…
 少し疲れてたのかもね…
 ほら連チャンで会議が続いたから…
 ねぇ…」
 と、杉山くんを見ながらそう言った。

「あ、はい、連チャンだったすから」
 と、相づちをしてくる。

 だが、その杉山くんの顔は少しだけ残念そうに見えた…

 そしてわたしは再び杉山くんの隣に座る…
 のだが、さすがに、彼の足も、手も、伸びて、絡んではこなかった。

「あら、佐々木部長ぉ、グロス塗ってきましたねぇ」
 すかさず彼女のチェックが入った。

「えっ、グロス……?」
 
「もお、ホント、杉山くんは何にも知らないんだからぁ」
 と、彼女はからかい気味にそう返してくる。

「え…」
 
「ほらぁ、佐々木部長の唇が艶々に煌めいてるでしょう?」

「え、あ、ホントだ…」
 杉山くんは彼女に吊られ、わたしの唇を覗いてきた。

「その艶々がグロスよ…
 とお、キスしたくなっちゃう?」
 と、彼女は笑いながらそう杉山くんに対して囁いてくる。

「あ……う、うん…」
 すると一気に杉山くんがキョドってきた。

「あら、もう、ホント、反応速いんだからぁ」
 彼女はそんな杉山くんの反応を見て、すかさずからかいの言葉を投げてきたのだ。

「あ、いや、お、俺も…」
 すると鈴木くんもそう呟いてくる。

「ああっ、もお、創くんはダメだからねぇ」
 そう小さく叫びながら鈴木くんの腕を掴む。



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