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シャイニーストッキング

第10章 絡まるストッキング9      美冴とゆかり

 139 余韻…

『お墓参りが終わって、一段落したら…
 また来てもいいかしら?…』

 美冴さんが慌てて部屋を出ていってからしばらくの間のわたしの脳裏には、さっきの出掛け際の彼女からのそんな言葉が…
 ずうっとグルグルと巡っていた。

 そして…
『また今夜…』
 と、ひと言いって、スッと軽いキスをしてきてくれたあの感触が唇と心を疼かせていたのだ。

 昨夜は本当に、夢の様な一夜の出来事であった…

 まさか…

 まさか、二人であの様に夢中になって愛し合うなんて…
 
 だが、実は…

 心の奥底には…

 期待…

 いや、秘かに切望していた想い…

 違う…

 欲望であったのだ…

 そう…

 美冴さんのあの目を…

 魅力を知って、感じて…

 魅了されてからは…

 欲望を抱いていたのだ…

 わたしは美冴さんがお墓参りの為に慌てて帰ってからもしばらくの間、ベッドに横になったままで、そんな昨夜の夢の様な抱擁を想い返していた。

 そしてそのいつまでも続いた激しくも、そして緩やかな、カラダの奥底に響くかの様な快感の余韻に浸っていたのだ…
 いや、再び、疼きを昂ぶらせ、心を高鳴らせてきていたのだ。

 ズキズキ…

 ウズウズ…

 ドキドキ…

 そして…

 再び、昨夜の快感が欲しくなってきてしまい…
 自らを弄りたい衝動が湧いてきていたのである。




『また今夜、来てもいいかしら…』

 だが…
 さっきの出掛け際に言ってくれた美冴さんの言葉が、そんなわたしの欲望の衝動のストッパーとなり、なんとかギリギリ、指先の動きを押さえてくれていたのだ。

 また今夜逢えるのだから…

 そして、また今夜…と。


「はぁぁ、ふうぅ…」
 そしてわたしはなんとか心の自制をし、ベッドから起き上がる。

 そうよ、いつまでも裸のままでベッドにいるからよ…
 
 そう、わたしはまだ裸のままであった…
 昨夜の続きのままであったのだ。

 切り替えなくちゃ…

 だって…

 また、今夜…

 来てくれるんだから…

 わたしは立ち上がり、とりあえず下着を穿き、部屋着であるTシャツを着る、そしてリビングルームへ入る。

 あ…

 そう、リビングルームは昨夜のままであったのだ。

 ふ…

 まるで、宴の後みたいね…




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