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　144　昂ぶる心

　ファミレスで食事を終え、帰宅して、シャワーを浴びる。

　ぬるめのシャワーが最近のお気に入りであった…

　このぬるめの流水が、色々な熱い想いを冷まし、落ち着かせてくれる気がするのだ。

　ここ二週間の激動の様々な思いや想い…

　自律神経の昂ぶり…

　大原浩一本部長とのこと…

　和哉とのこと…

　武石健太のこと…

　そして…

　昨夜の佐々木ゆかりさんとのこと…

　いや…

　まだ、ゆかりさんのことは冷えてはくれない…
　
　いえ…

　まだまだ熱い…

　そう想い浮かべながらシャワーを浴びていると、少し疼いてきてしまう。

　あの快感…

　心地よさ…

　本当にかつてない経験であった…

　今、こうして半日が過ぎ、シャワーを浴びてクールダウンをしていても、まるで夢の様な、いや、夢心地の想いが続いていたのである。

　さっき、ファミレスに和哉がいなかった…
　それで本当に良かった、助かったのだ。

　こんな夢心地で心をいっぱいいっぱいに昂ぶらせた様な状態で、再び和哉を見かけてしまったならば、きっとオーバーヒートしてしまった事だろう…
　それはつまり、自律神経の暴走を意味する。

　あの武石健太との逢瀬があっても…

　和哉との五年間の重い逢瀬があっても…

　そして、昨夜のゆかりさんとのことがあっても自律神経は落ち着いてくれていた…

　もしかして…
　もう暴走はしないのかもしれない。

　だが…
　昨夜のことに関しては昂ぶる心は全く落ち着いてはいない、いや、ますます昂ぶってくる想いと心をかろうじて抑えている様な紙一重の状態なのだ。
　
　そう、かろうじてなのだ…
　油断はできない…
　またその紙一重は、一触即発でもあり、そして簡単に暴発、暴走をしてしまう恐れが、可能性が、十分にあるといえる。。

　そしてこのぬるめのシャワー…
　それがひとまず、わたしの心を落ち着かせてくれていた。

　だが…

　夕方には、また、再び…
　ゆかりさんに逢いに行くのだ。

　逢わずにはいられない…

　いや、夕方まで待てそうにもない…

　どうしようか…


　まだ時刻は午後１時半を過ぎた辺りであった。