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シャイニーストッキング

第10章 絡まるストッキング9      美冴とゆかり

 145 ザワザワ…

 わたしは美冴さんが実家に帰った後、ときめく心を抑えながら、気分転換の為にテレビのスイッチを入れ、映し出された『夢の国』特集を眺め、羨望の想いを昂ぶらせていた。

 ああ、美冴さんと『夢の国』へ行きたいなぁ…

 そんな昂ぶる想いを感じながら、まるで宴の跡といえる、食べ、飲み残しを片付けていく。

 美冴さんは凄いわ、こんな料理もパパっと作れるんだから…
 料理の食べ残しの皿を洗いながら、そう思う。

 さすが、元主婦…

「あ…」

 わたしも元主婦だった…
 思わず自虐してしまう。

 だけど、掃除、洗濯は得意だし…
 そう思い直しながら、掃除機をかけ、昨夜の名残のあるシーツを洗濯し、部屋のあちこちをきれいにしていく。

「ふうぅ…」
 だが、まだ時刻は午後1時過ぎであった。

 ああ、夕方までは長いわ…

 もしかすると入盆だから、夕方じゃなくて夜になっちゃうかも…

 いや、親戚関係がたくさん集まって、もしかしたら来れなくなっちゃうかも…

「あぁ…」
 来れないが、いちばんツラい。

 例えどんなに遅い時間になろうとも来て欲しい…

 いや、逢いたい…
 
 すると、点け放しのテレビの画面がお昼のワイドショーを映し出し、映画特集を始めたのだ。

 映画かぁ…

 最後に観に行ったのはいつだろうか?…
 想いを巡らせていく。

 あ、そう、あれは高校3年生のバスケ部のみんなで行った
『ゴースト…ズ』という幽霊退治の映画だ…

 すると、もう12年も経つのか…
 我ながら呆れてしまう。

 映画は彼とは出掛けた事がないし、元夫とも無い…

 でも今は美冴さんという友達がいるのだ、いや、出来たのだ…

 映画にも行きたいな…
 再び心がザワザワと騒めいてくる。

 するとテレビの画面に、話題のヒット作である
『失楽…』という不倫映画が特集されていた。

 どうやら、大ヒットにつきロングラン上映中らしい…

「映画かぁ…」
 
 美冴さんと映画に行きたいなぁ…

「ふうぅ…」
 わたしはため息をつきながらコーヒーを煎れる。
 料理は出来ないがコーヒーは得意なのだ。
 部屋中にコーヒーの心地よい香りが拡がっていく。

 コーヒーのこの香りは大好きだ、心が穏やかな気持ちになる…




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