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シャイニーストッキング

第10章 絡まるストッキング9      美冴とゆかり

 154 ストッキングの意味…

 きっとわたしが見惚れてしまっていたのと、その編み上げの皮のサンダルをついボーッと見つめていたから、薄い爪先スルーのストッキングを穿いている事に対して言い訳気味に、そう言ってきたのだと思われた…
 
「い、いや、そんな…」
 決してそんなつもりではなく、わたしも前からそんなデザインの皮製の編み上げのサンダルが欲しかったから、余計につい、見つめてしまったのだ…
 と、言ったのだが。

「わたしさぁ、あの素脚の密着のベタ付きの感触が嫌いなの、だから、つい、真夏でもストッキングを穿いちゃうのよねぇ…」

 きっと美冴さんもそんな思わずな、わたしの視線に上ずってしまったのだろう…
 まだ、そんな言い訳気味に話しを続けてきていた。

「あ、うん、わたしも同じ、そうなの…
 だから、ほら…」
 だからわたしは、美冴さんに合わせる意味と、気楽にさせる意味もあり、そう言いながら脚を前に差し出したのだ。

「あら…」
 すると、そのわたしの脚元を見るなり呟いてきた。

 そう、わたしも美冴さんと同じ想いであり、ストッキングを穿いていたのだ…
 同じ様に、あの素脚同士の密着によるベタつく感触が嫌いなのである。

 ただし、今日のわたしはサンダルではなく、ローヒールの先に穴が開いているいわゆるサンダルパンプスを履いていた…


 だから、そんなわたしは夏も、夏こそストッキング派なのであり…
 そしてもう一つの意味もあった。

 それは、ストッキングを穿けば、いや、いつも常に穿いていれば…
 ストッキングフェチである彼の視線を、いや、世の中のフェチな男達の視線をも、ほぼ常に、集めていられるから。

 そして、そんな男達の視線が快感でもあったから…
 それは多分に、美冴さんの心の中にもその想いはあると秘かに感じてはいたのだが、今はまだ、それは言葉には出せないでいた。

 だからそんな深層の想いと、ファッションとの二つの意味があったのだ…


「今日のゆかりさん、カジュアルな感じで素敵よ…」
 そしてそんなわたしの姿を見て、にこやかに微笑みながら、そう言ってくれた。

 とりあえず今日の再会は、お互いを褒め合い、認め合う事から始まったのである…

 若者の街渋谷は、まだまだジリジリと暑く、熱い…

 そして沢山の人々の熱気と、想いに包まれていた…

 



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