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シャイニーストッキング

第10章 絡まるストッキング9      美冴とゆかり

 156 言い訳気味…

「え、あ、うん、ほら、映画だから、映画館の中ってさぁ、エアコンきついじやない…
 だから、つい…」
 わたしはゆかりさんの脚元への視線に対して、慌ててそう言い訳気味に応えた。

 実際、出かける前に鏡の前で色々と衣装合わせを繰り返し、そしてこの服に決めた時に、ストッキングを穿くか、穿かまいか悩んでのこの意味と結果なのである…
 
「い、いや、そんな…
 そんなつもりではなく、その皮の編み上げのサンダルが前からわたし自身が欲しかったから、つい余計に見つめてしまったのだ…」
 と、ゆかりさんは続けてそう言ってきたのだが。

「わたしさぁ、あの素脚の密着のベタ付きの感触が嫌いなのよ、だから、つい、真夏でもストッキングを穿いちゃうのよねぇ…」
 わたしはそんなゆかりさんの思わずな、その視線に上ずってしまっていて、
そんな言い訳気味に話しを続けてしまう。

「あ、うん、わたしも同じ、そうなの…
 だから、ほら…」
 するとそう言いながら、わたしに対してスッと脚先を伸ばしてきた。

「あら…」
 ゆかりさんもストッキングを穿いていたのである。
 そして、どうやらわたしと同様な想いである…
 と、も言ってくれたのだ。

 本当に、あの素脚同士の密着によるベタつく感触が嫌いなのだ…

 しかしゆかりさんはわたしの様なサンダルではなく、ローヒールの先に穴が開いているカジュアルなデザインのお洒落なサンダルパンプスを履いていた…

「今日のゆかりさん、カジュアルな感じで素敵よ…」
 そして思わず、そう囁いた。

 とりあえず二人の再会は、お互いを褒め合い、認め合う事からはじまったのだ…


 しかし、実は、わたしには…

 このストッキングを穿く…
 と、いうことに対して、もうひとつの意味もあったのである。  

 そして、その意味をゆかりさんに対して隠したい…
 そんな無意識な深層の想いもあって、こんな言い訳気味に話してしまっていたのであったのだ。



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