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　170　違和感と罪悪感…

「だからぁ、ホントに途中からは、あの濡れ場シーンがさぁ…
　わたしにはさぁ…
　まるで本当にゆかりさんと彼が愛し合っているかの様に見えちゃってたのよねぇ…」

「え…」

　だが、それは、嘘、ウソであった…

　本当に彼に被って、ダブって見えて、観えていたのだが…

　実は、この前の…

　あの『黒い女』からの覚醒時に抱かれたあの夜を…

　あの想いを…

　自らを浮かべてしまい、映画のシーンを自分に被らせて昂ぶり、疼いてしまったのであった。

「え、あ、そんな…」
　するとゆかりさんは、そんな戸惑いの声を漏らしてくる。
　そしてわたしの顔を、目を見つめてきた。

「あぁ…
　あ、ごめんなさい…」　
　すると、震える声でそう囁いてきたのだ。

　うん、なんだ、なんで謝ってくるんだ？…

　わたしはそんなゆかりさんの震える声と、濡れた瞳に、なぜか違和感を感じてきていた。

「ご、こめんなさい…
　わ、わたしは違うの…
　違うんで……す…」

　すると、消え入る様な小さな声になり…

「わ、わたしは…
　わたしは…女優さんが美冴さんにダブったくらいだから…
　そして男優さんは彼に見え……」

　え、ま、まさか…

　まさかなのか…

　わたしは急に心がドキドキと高鳴り、そしてザワザワと罪悪感の騒めきが昂ぶってきたのである。

　まさか…