テキストサイズ

シャイニーストッキング

第12章 もつれるストッキング1   松下律子

 23 宣戦布告?

「越前屋くんを貸して欲しいんだが…」

『え、越前屋さんを?…』
 そしてゆかりは少し沈黙し…

『あ、はい、なるほど、いつまでですか?』

 実は、越前屋くんによって直接もう一度、この生保内の人間関係とパワーバランスを確認し、色々と参考にしたかったのだ…


「……」
 わたしは、やはり、勘のよい、いや、瞬時にこっちの思惑を察知する優秀なゆかりに、一瞬、沈黙してしまう…

「あ、うん、午後から明日一日いっぱいまでかな…」

『はい、うーん、大丈夫です、じゃあ、さっそく午後イチで行かせますね』

「あぁ、よろしく頼むよ」
 そして電話を切ろうとした時であった…

 サッと律子が外線切り替えのボタンを押したのだろう…

「あ、佐々木ゆかり新プロジェクト室長様ですね、わたくし本日付けで大原常務様の専属秘書に就任しました…
 松下律子と申します、今後ともよろしくお願い致します…」
 と、突然、そう、ゆかりに挨拶をしてきたのである。

「では、失礼致します」
 そして電話を切った。

 えっ…

 な、なんだ?…

 今のは…

 え?…

 いや、まさか…

 まさか…

 わたしには…

 いや、わたしにだけは…

 その律子の最後の電話でのゆかりに対する挨拶が…


 律子からのゆかりに対する…

『宣戦布告』に聞こえ、いや、感じられたのである…

 あ、いや、考え過ぎかもしれないが…
 
 そして私は思わず律子を見る…


 すると…

 トントン…
 
 ガチャ…

「失礼します」
 だが、すぐにまた、来客が来てしまい…

 その律子の真意は読めない…

 まさかの宣戦布告なのか?…

 心がザワザワと騒めいてしまう…




ストーリーメニュー

TOPTOPへ