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シャイニーストッキング

第12章 もつれるストッキング1   松下律子

 26 ランチ

 この○△生命本社ビルは新橋駅前に立地している…
 だから私と越前屋くんお二人は直ぐ近くの商業施設ビルの『カレッタ汐留』内のステーキハウスに入った。

「うわぁ、この前連れて行ってもらった東京タワー下のステーキ屋さんもすごかったけどぉ、ここも凄い素敵ですねぇ」
 彼女は興奮気味にそう言ってきた。

「ああ、そうかぁ、うん、このランチコースで良いかな?」

「あ、はい」
 そして私達は『サーロインランチコース』を頼む。

「こうして越前屋くんと食事するのも三回目かなぁ?」

「あ、はい、んと、四回目ですね…
 もう一回は社員食堂て…」

「あ、あぁ、そうだったな…」
 そうだった、各部署の社員達の前で、今回の吸収合併、子会社化についての説明と聞き取り調査をしていた時に、二人で社員食堂で食事をしたんだっけ…

「あの時は、満員の社員食堂内だったに、私達の周りだけ空席になったんだっけなぁ」

「はい、そうでしたね…」

「そうだ、今日、わざわざ来てもらったのはさぁ…」
 そして私は話しをしていく…

 今回のこの○△生命が経営破綻に近く傾いた原因は、諸々あるのだが、最大の諸悪の根源は…
 △△生命時代の、前、真中常務による『資産運用部』の私物化と、運用失敗と、収賄が主であった。

「…で、新しい『資産運用部』の部長と課長が挨拶に来て…」

「えー、誰になったんですか?」

「あ、ええと……」
 その二人の名前を越前屋くんに告げる…

「あ、まぁ、大丈夫じゃないんでしょうかぁ…
 その二人は当時はアンチ真中常務派でしたから…」 

「そうか…」

 どっちにしろ、この新人事の全ては、私の常務就任と同じ様に、全ては山崎専務、いや、しいては松本副社長の息の掛かった傀儡政権人事には違いないのであるが…
 いちおう、この越前屋くんに確認をしておきたかったのだ。

「ちょっと色々訊きたいのと、確認したいから、メシ食ってから頼むよ」

「はぁい、わかりましたぁ…」

 そのタイミングでサーロインステーキが運ばれてきた。




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