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シャイニーストッキング

第12章 もつれるストッキング1   松下律子

 27 礎の為にも…

「はぁ凄く美味しかったぁ」
 越前屋くんは満面に笑みを浮かべ、満足げな顔でそう言ってきた。

「じゃあ午後から色々頼むぞ」
 
「はぁい了解ですぅ」
 そんないつもの彼女のノリに戻った返事をしてくる。

「とりあえずこの会社をまた再び盛り上げる為にも…」
 この吸収合併とは名ばかりの完全子会社化されてしまったこの○△生命を、また、再び盛り上げるには…
 まずはここから派生させ着々と進めている佐々木ゆかりを中心とした
『新規プロジェクト計画』の成功と…
 もう一つ、資産運用管理システムの再構築と確実な運営と運用なのである。

 そしてこの二つの成功がこれからの私自身の、いや、ゆかりもそう…
 この先の二人の大きなステップアップの礎となる。

 その為にも…

「前、真中常務に虐げられていた優秀な人材はもういないか?」
 私は越前屋くんに尋ねる。

「えぇと…うーん…」
 彼女はそう唸りながら宙を見て、色々と脳裏に浮かべている様であった。

「あ、いた、一人いましたよ」

「うん、いたか?」

「ちょっと元人事部の上野さんに訊いていいですか?」
 携帯電話を掛ける。

 元人事部の上野涼子…
 彼女も今現在は『新規プロジェクト』に引き抜いた優秀な人材であった。

「あ、あのぉ、あの元資産運用部にいた青山さん、ほら、青山一也さんて、どこに飛ばされましたっけ?」
 そう尋ねる。

 そしてその会話を聞いていた秘書の律子くんは、さっそくパソコンで検索を掛けていく…

「新潟支社ですかね?」
 律子くんが素早く反応する。

「はい、新潟支社ですね、ありがとうございました…」
 そして確認して電話を切った。

 どうやら上野涼子くんが、当時の真中常務派の人事部長の指示により、異動辞令を伝えたそうである…

「あ、そうかぁ、パソコン検索すればよかったんですね」
 と、越前屋くんは秘書の律子くんにそう言って、苦笑いを浮かべる。

「その青山くんは優秀なのか?」
 すかさず問うと…

「はい、株式運用の手腕は抜群でした…」

 だが、前、真中常務の収賄と私物化にいち早く気付き、反応し、反発したら、直ぐに新潟支社に飛ばされてしまったそうであるのだが…
 その彼は新潟支社に異動になっても腐らずに、瞬く間に新潟支社の資産運用を高め、利益を上げたそうであった。



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