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シャイニーストッキング

第12章 もつれるストッキング1   松下律子

 33 熱い想い

「だから、これからはその生保セールスレディ達を更に有効活用していき…
 生命保険商品を一辺倒に勧めさせるだけではなく…
 生命保険という命への比重プラス…
 そしてその命だけではなく、明日へ続く生活へのプラス比重も必要になってくる…」

「生活へのプラス比重?」

「はい」

 この越前屋朋美さんは、あの人、いや、大原常務に促され、更に熱く語っていく。

「はい、生活へのプラス…
 それはつまり、生活、貯蓄、金融、其れ等の生活に必要な、必要になってくるもの全てを一緒になって提案していく…」

「………」
 わたしも、大原常務も、この熱い越前屋さんの話しに聞き入ってしまっていた。

 この越前屋さんは本当に優秀なのだ…

 そして熱い…

「つまりは人生設計…
 そうライフプランナー的なアドバイザーになる、いや、アドバイスをお客様と共に提案し、考え、勧めていく…」

 そして聡明で、明快、明確…

「ライフプランナー…」
 大原常務もかなり感心している。


「はい、これからの生保セールスレディは、ただ保険商品を勧誘、契約するだけではなく、そんなライフプランナー的になるべきである…と、わたしは考えていて…」

 そんな越前屋さんの意見に思わず納得し、頷いてしまう…

 そしてわたし自身もライフプランナー資格も持っているし、履歴書にも明記しておいたから…
 彼、大原常務がチラとわたしを見てくる。

「うーん、なるほど…
 ライフプランナーか…」
 感心した声を漏らす。

「そして、そのライフプランナーを更に派生させてのファイナンシャルプランナーとか…」

「あ、ファイナンシャルプランナーか…」
 そしてまた、感嘆する。

「はい、ライフプランナーとか、ファイナンシャルプランナーとか…」

「うむ、なるほどなぁ…」
 本当に素晴らしい、明快、明確な越前屋さんの意見であった。
 

「そしてぇ、前にそんな提案をしたら…
 更に隅に追いやれてしまってぇ…」

「あ…そうか、そうだったな…」


 そう、確か以前のこの生保会社は…
 優秀な女性社員達を、いや、優秀であればあるほどに彼女達を虐げてきた会社であったと聞いていた。

 本当だったんだ…


「はい…
 だから、そんなレディスパワーをもっと活用してぇ…」
 



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