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シャイニーストッキング

第12章 もつれるストッキング1   松下律子

 39 律子の秘密(1)

 午後7時15分…
 わたしと律子の二人で、山崎専務からの指定である赤坂プリンスホテルのフレンチレストランの個室に入る。

「遅くなりました」

「いや私も今到着した処だし、それに約束は7時半じゃないか」
 そう山崎専務は穏やかな笑みを浮かべてそう言ってきた。

 そして…
 銀座のクラブ『ヘーラー』のママも同席している。

「あ、ママも律子の件では少し関わっているから…」
 そう話してきたのだが、多分、来ているだろうと予想はしていた。

「律ちゃんお仕事はどう?」
 ママは律子の姿を見るなり、そう訊いてくる。

「はい、大変ですけと…」

 楽しいです…
 と、律子はにこやかな笑みを浮かべて応えた。

 あ、そうか、ママも、いや、この三人は、あ、違うか、ママも最初から知っていたんだっけ…
 私は少しだけ疎外感を感じてしまう。


「さぁまずは大原くん、常務就任の乾杯をしよう」
 そう言って私、律子、ママに山崎専務自らワインを注ぎ…

「じゃ常務就任おめでとう」
 
「あ、ありがとうございます」

「おめでとうございます」

「おめでとう」
 と、グラスを合わせて乾杯をした。

「コースでいいよな?
 まあ、ゆっくりと食事をしながら話そう」
 そう言ってくる。

 本当に操り人形的な、傀儡の常務という役員のポジションではあるのだが…
 これをひとつのチャンス、礎と開き直り、甘んじて常務というポジションを受け乗りこなしていこうと、もう腹は括れていたから、少し嬉しかった。

 そして、そんな感じにはなっていたから、まずは…

 律子と山崎専務との関係を…
 いや、ミステリアスな律子の秘密が知りたい。

「まずはメシを食おうか」
 そんな私のはやる気持ちを知ってか…
 山崎専務はそうのんびりと食事を勧めてくる。

「あ、はい…」
 焦れてはいたが、さすがに抗えない。

「大原くんのお祝いだから、シェフにスペシャルコースを頼んであるから、まずは料理を堪能してくれたまえよ」

「は、はい…」
 
「あら、それは楽しみですわ」
 と、ママが脇から言ってくる。

「うん、それに律子の秘書就任のお祝いもあるからなぁ」

「おじさま、ありがとうございます」

「うん、あ、そうだ…
 どうだね、律子の秘書ぶりは?」
 と、山崎専務はそう訊いてきた。
 


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