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シャイニーストッキング

第12章 もつれるストッキング1   松下律子

 44 律子の秘密(6)

「そして、そんな関係を築けて約10年くらいかなぁ…
 なんと会長から個人的な、そんな息子との関係や、その孫の存在の相談的な話しを交わす様になり…」
 
 その溺愛していた息子さんの会社の立ち上げや、バックアップを請け負い、更に会長とは個人的な縁が強くなったんだよ…

「へぇ、でもそれは山崎専務の人柄も良いからじゃないですか?」

 そう、確かに山崎専務は人柄もよく、人身掌握に長け、信頼もできる人物ではある…
 だから、私も付いて行っているのだ。

「ほう大原くん、嬉しい事云ってくれるなぁ」

「いや、本当ですよ」
 と、私が言うと、律子もママも頷いてくる。

「ま、その間には大なり小なり色々はあったんだが、それは省略して…
 確か、7、8年前かなぁ…」
 すると山崎専務は律子を見る。

「突然、律子の相談を受けたんだよ…」

「……」
 すると律子は恥ずかしそうに下を向く。

「律子は、知っているとは思うが、大学在学中にモデルとなってデビューして…」

 律子のモデル…
 それは全く知らずに、帰省した時の昔の元カノの『ノン』によって教えられたのだった。

「あ、はい…」

「その頃の会長は、この孫娘の律子をそれはそれは可愛がっていて…」

 なんとか律子をモデルとしてバックアップしてくれないか、って頼まれて…

「だから、律子とはその頃からの付き合いなんだ…」
 
「は、はい…」
 すると律子は恥ずかしそうに返事をする。

「ま、もう一人の娘的な感覚だなぁ」
 山崎専務もにこやかな笑みを浮かべる。

「大原くんも律子の履歴書読んだだろうが、この律子もそんなモデル関係をしながらもしっかりと勉強にも励んでいて、非常に優秀な子だった、あ、いや、今もか…」

「もう、おじさま、恥ずかしいですわ」
 律子はまた下を向く。

「いや、話しを訊くと、律子はモデルよりもちゃんと働きたい…
 あ、違うか、父親の仕事を手伝っていきたい…と」

「あ、はい…
 実はわたし、多分、ファザコンで…」
 小さな声で囁いた。

「うむ、そう、父親が、まぁ、浮気で離婚し、律子は母親の方には行ったのだが、姓だけは父親方の苗字を継続してなぁ」

「は、はい…」
 更に消え入る様な声で返事をする。




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