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シャイニーストッキング

第12章 もつれるストッキング1   松下律子

 47 律子の秘密(9)

「そう、だが、それも主だった○○塾メンバー存命中に限る…」

 てことはあと約10数年か?…

「それでもまだ時間がある…
 そして私や松本副社長がこの律子の後見人的な存在であり…」

「あ…」

「そうだよ、その昭和から平成に掛けての最後の経済界の『経営の神様』の孫娘、つまりプリンセスが選んだ男が…
 キミ、大原くんなんだ」

 その話しを聞いた瞬間に鳥肌が粟立つ想いになった…
 確かに律子という熱い血脈は生きている。

「そして律子はキミを選び、私と松本副社長との利害関係も一致した上でのキミの専属秘書なんだよ」

「あ、あぁ、はい…」

 そう、律子の秘書就任は、単なるお目付役どころではなく…
 もっと、もっと、深い、いや、かなり深い意味があったのである。

「もぉ、山崎のおじさまったらぁ、大袈裟なんだからぁ…
 そんなおじいさまの血脈とか、云々、なんてぇ…
 大原さんがびっくりしちゃってるじゃないですかぁ…」
 と、話しの内容の重さとは全くの正反対の軽い笑みと声音でそう軽く言ってきた。

「あ、だが…」

「もう、今更、おじいさまの存在感なんてぇ…」

 そう律子は言うのだが…

 まだまだ、いや、この○○塾のメンバーを知る限り…
 そんな軽くは決して無い。

 いや、今が旬であり、一番力を蓄えている時と云える…

 そして、さっき山崎専務が言った様に…
 あと約10数年間が勝負といえよう。

 そして、時代は代わる、いや、生きているから、否が応でも世代交代が起きる…
 だからこそ本当に今、今が、勝負なのかもしれない。


 じゃあ、松本副社長と山崎専務の見据えている高見、つまり、この先とは?…

 それは…
 この日本有数なこの我が一流商社会社を手中に入れ、我が物にし…
 まずは日本経済の中心的な立場になる。

 そしてゆくゆくは世界経済を…

「いや、男のロマンだよ」
 と、山崎専務は急に緩やかな、朗らかな笑みを浮かべながらそう言ってきたのだ。

「男の、いや、サラリーマンの夢、ロマンだよ…
 なぁ、大原くん…」
 そう言ってくる。

「あ…は、はい、そうかもしれませんね」
 正直、私自身には、そこまでの大きな夢、ロマンを抱いた事が無い。

 せいぜい、部長、もしくは役付きくらいに成れればいい位しか考えたことが無かった…



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