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シャイニーストッキング

第12章 もつれるストッキング1   松下律子

 52 我慢のキス…

 マンションのエレベーターのドアが閉まった瞬間に…
 わたしは彼に抱き付き、キスをしていく。

「あ……」
 そして彼は、わたしの唇を素直に受け入れる。

 実は…

 今日、朝からずうっと…

 キスがしたかったのだ、いや、キスがしたくて、したくて堪らなく…

 ずうっと我慢していたのだ。

 常務室で二人きりの時間は沢山あった…
 だが、わたしは彼の正式な常務秘書である。

 公私混同はしたくはなかったし…
 しないと決めていた。

 だから、とても部屋迄なんて我慢できなかったのだ…

「あ…う…ぁぁ…」
 そして彼も、激しく唇を吸ってくる。

「が、ガマン…して…たんだ…」

 あぁ、か、彼も、ガマンしていたんだ…
 そんな嬉しい言葉を呟いてもくれた。

 チン…
 エレベーターが到着する。

 だが、わたし達は唇を…
 いや、抱き合っている腕が外せない。

 唇を吸い合いながら、もつれ合い、まるで千鳥足の様に絡まりながら、なんとか部屋の前に辿り着く。

「あ…ん…んん…」

 激しく抱き合い…

 唇を吸い合い…

 舌を絡め、吸い合い…

 なんとかわたしはドアロックの暗証番号を解除をし…
 ドアを開け、玄関にもつれ込み、上がり框脇の壁に押し付けられてしまう。

「あ…ぁぁ…ぁ…」
 頭が、心が…
 痺れ、蕩けてくる。

 彼の手が、カラダを…

 スーツの背中を…

 スカートのお尻を…

 撫で、まさぐってきた。

「は…ふ…り、り…つ…こ…」

「あぁ…あ…な…た…ぁぁ…」

 全身の力が、まるで唇から吸い取られてしまったかの様に、抜けて、脱力し、膝が震えてくる。

 壁に押し付けられていなかったならば、崩れ落ちてしまう…

 あぁ、心が融けて無くなりそうだ…

 


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