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シャイニーストッキング

第12章 もつれるストッキング1   松下律子

 91 律子の魅惑(14)

 すると、この私の異常なスピード出世といえるこの流れも、もしかしたら、この律子に見初められたせい…

 いや、おかげなのだろうか?

 冷静に考えると、多分間違い無い…
 そんな気がしてきた。

「ふうぅ…」
 また再び缶ビールを一口飲みながら、そんなため息を吐いてしまう。

「あ…」
 そしてベッドサイドを見ると…
 その枕元にはアレが居て、私を見てきたのだ。

 そのアレとは…

 それはこの前、律子に『夢の国』で買ってあげた、一番大きいサイズの…
 アヒルのキャラクターの『ダック』の縫いぐるみである。

 この『ダック』の大きな目が、私の心に問い掛けてくるのだ…
 いや、私の心の反面教師的な存在感があるのだ。

 私はベッドサイドに座り、ヤツを、その『ダック』の目を見つめる…

『そうだよ、その通りさ、だから律子を支配しろ…』
 するとヤツは、いきなりそう私に向かって言い放ってきた…気がした。

 えっ…

『あの夜に尖るって決めたんだろうが…』

 そう、あの夜に…

 佐々木ゆかり…

 松下律子…

 蒼井美冴…

 これ等の三人の美女達と寝た夜に…

 この三人の美女達を抗う事無く…

 分け隔てる事無く…

 これからも愛して、自分のモノにして…

 ガンガン尖って…

 いや、昔の、若い時分の様に…

 金、仕事、女…
 と、尖っていくと決めたのだ。

 この三人を、誰も手放さ無い…と。

 ビジネスパートナーとして…

 魅惑のフェチ嗜好の憧憬として…

 不思議な魅力の存在として…

 このゆかり、美冴、律子という三人の美女達を愛していく…と。

 そしてこれが、この先の自分の為…
 
 礎的な存在となり…

 力、パワーの源になる筈だから…と。


 それは、本当に現実的となり…

 ゆかりと美冴は、最早、居なくてはならない、欠かせないビジネスパートナーとなっており…

 そしてこの律子は…

 未知なるパワー、力、いや、権力の源の存在であると…
 今夜知ったのだ。

 そして絶対に欠かせない、私自身にとっての、いわゆる…
 パワーアイテムの存在感であると認識してしまった。


 いや、違うか…

 逆に律子に…

 選ばれたのだ。


「あらもお、またにらめっこしてるぅ」
 と、不意に後ろから声がした。



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