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シャイニーストッキング

第12章 もつれるストッキング1   松下律子

 99 律子の想い(9)

 そう、パパと同じ甘い体臭、匂い、いや、香りがわたしを狂わせる…

 そして…

 あの子の甘い…

 いや、パパと同じ香りが…

 あの頃のわたしを狂わせたのだ。


 あの頃…

 わたしは彼、大原浩一の指先によりクリトリスを弄られ、身悶え、喘ぎながら…

 あの頃の…

 あの頃のわたしの事を…

 想い浮かべてきていた…

 いや…

 想い浮かんできてしまっていた。

 
 それは、さっきの、彼の…

 あのわたしの無意識の癖に対する、彼からのあからさまな疑問の目のせいだと思われる。


 仕方がないかも…

 だって…

 だって、あんな癖…

 つまりは昂ぶりの喘ぎを必死に抑えようと口元を゙手で押さえる行為や…

 感じ昂まってくると、自らの指先で弄ってしまう…

 等々の癖を持っている女なんて、そうはいないであろうから。

 彼との関係を始めから思い返すと…
 ずっと、不思議そうな目をしていた。

 いや、当たり前だ…
 誰だって不思議に思うに決まっている。


 だけど…

 だけど、まだ…

 あの癖の由縁の秘密は…

 言えない…

 いや、決して誰にも云えない…


「はぁっ、ううっ、あぁぁ…」

 わたしはそんな想いを浮かべながら…  
 指先の愛撫の快感に震え、身悶えし、小さな喘ぎを漏らす。


「そうだよ、感じて…
 声を漏らしていいんだよ…」
 すると、彼がそう耳元で囁いてくる。

「ん…ぁぁぁ…はぁぁ…」

 だけど…

 そう、あの頃は…

 声を…

 喘ぎ声を…

 漏らす訳にはいかなかったのだ…
 

 
 

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