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シャイニーストッキング

第12章 もつれるストッキング1   松下律子

 109 律子の秘密(21)

『わ、わたしの事が…
  す、好きなんだ?…』

 それは無意識の言葉であった…

『え、あ、うん、す、好き、大好き…』

『だから、ソレ、その…』
 わたしは握っているパンティを見つめ…

『あ、あぁ、ご、ごめんなさい』

 すると優くんは、慌てて…

 泣きそうな目で…

 声で…

 口調で…

 言ってきた。

 そして…

『り、律っちゃんを感じたくて…』

 そう続けて言ってくる。

『わ、わたしを感じたくて?』

『う、うん、そう…』


 この兄弟が、いや、思春期の年頃の男兄弟が、姉、妹の下着に興味があったり、興味を持ったり、また、それに悪戯したりする…
 と、いう事が決して異常な行為ではなく、いや、男として比較的普通な行為、行動、衝動であるのだと事前に訊いていて本当に良かった。

 本当に良かった…

 じゃなければわたしはこの弟を嫌悪し、拒否、いや、拒絶してしまい、今後の日常生活に多大な影響を受けてしまうところであった。

 本当に良かった…

 それ位に、当時のわたしは純粋で、純情で…
 いや、そんな性知識なんて無知で、無垢な女、女の子であったから。


『そ、そんなに…』

 事前に色々と訊いていて…

 本当に良かった…

『そんなにわたしの事が…』

 好きなの?…


『え…あ、う、うん、だ、大好き』

 ドキドキ…
 胸が高鳴り…

 ズキズキ…
 わたしの未知の領域の疼きが昂ぶってきていた。

 大好き…
 そして優くんに云われた、その甘い響きの言葉に心が震えていたのだ。

 なぜなら…

『大好き』
 なんて、初めて云われたから。

 いや、男の人に…
 初めて告られたから。

 そして優くんは男であり…

 義理の弟であり…

 それはつまりは…

 他人という事実が脳裏に過っていた。


 だから…


 わたしはこの瞬間から…

 この優くんの事を…

 可愛い義理の弟、いや、本当の弟という存在から…

 一人の男として認識してしまったのであった。

 そう…

 一人の男として…





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