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シャイニーストッキング

第12章 もつれるストッキング1   松下律子

 142 愛の自覚

「り、律子…」

 私はそんな律子を抱き締め…

 恐る恐る唇を寄せていく…

「あ…」

 そして律子は…

 私の唇を受け留めてくれた。

 律子すまない…

 だが、私は、その言葉が出なかった…

 いや、云えなかった…

 そして情けなかった…


「あ…ん…んん…」

「はぁ…り、律子ぉ…」

 私はまるで言い訳…

 いや、そんな情けなさを誤魔化すかの様に…

 キスを…

 律子の唇を、舌を吸っていく…

 心がザワザワと騒ついていた…

 いや、情けなくて堪らなかった。


 そして…

 律子を失う事が…

 リアルに怖くなっていた…

 それは…

 あの律子の出世の秘密を…

 ルーツを…

 巨大な権力のバックボーンを知ってしまったから…

 いや、違う、違っていた…

 違うのだ…

 今、こうしてハッキリと分かった…

 ううん…

 ハッキリと自覚したのだ…




 私は律子を…

 愛している…

 いや、完全に愛してしまったのだ。


 律子の背景…

 秘密…

 ルーツ…

 権力…

 バックボーン…

 そんなモノは後付けであり、関係ない…

 今、こうして…

 もしかして律子を失ってしまうのではないかと、そう、さっき…

 初めてそんな風な想いが脳裏に過ぎり…

 急に怖くなったのだ…

 そして自覚したのだ…

 ああ私は…

 律子を完全に…

 愛してしまったのだ…

 この魅力に魅了されてしまったのだ…

 心を奪われてしまったのだ…と。


 だからさっき恐る恐るキスをした…

 そして…

 もしも拒否されてしまったらどうしようか…
 
 と、怖くなったのだ。


 こんな想いはいつ以来であろうか?…

 ゆかりに対してだって、未だかつて想った事は無い。

 もっと深くい感情であるのだ…

 ああ、ヤバい…

 この律子が愛しくて堪らない。


 私はギュッと強く抱き締め…

 キスをしていく。

 

 

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