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シャイニーストッキング

第12章 もつれるストッキング1   松下律子

 145 彼の謝罪

「あ…ん…んん…」

「はぁ…り、律子ぉ…」

  わたしは…

 彼の唇を…

 誤魔化しの…

 そして言い訳のキスを受ける。

「は……ふ…ぅぅ……」

 彼の舌先が唇を押し開けてきて、必死に…

 そう、まるでわたしの心の様子を探るかの様に…

 必死にわたしの舌を吸い、舌先を゙絡めてくる。

 元よりわたしは彼を拒むつもりは毛頭無いし…

 ただ、ただ、わたしはあの女から彼を奪いたいだけである訳だから…

 彼のキスを…

 唇を…

 舌先を…

 甘い唾液を拒むつもりは無い。

 彼を奪い…

 わたしだけの存在に…

 男にするんだと決めたのだ。

 あんな電話位でどうのこうのと心は揺らがない。

 だけど…

 電源を切ったという行為はやり過ぎであった。

 いや…

 現時点ではまだ早いんだ…

 わたしは…

 わたしはできればより自然に…

 よりスムーズに…

 彼を奪いたいのである。


 ううん違う…

 彼の気持ち、想いが自然に、スムーズに…

 わたしの魅力に魅了され…

 奪うのでは無くて…

 心を魅了し…

 魅せつけ…

 惹きつけて…

 移って欲しいのである。

 だから、こんな、遺恨の残る様な…

 携帯電話を奪い取り、電源までをも切ってしまうような…

 強行なやり方はしたくは無かったのだ。


「…ぁ、ふぅ…、ご、ごめんなさい…
 わたし…
 わたし…」
 だから、それに対しては素直に彼に謝りたい。

「い、嫌、イヤだったの…
 ただ、イヤだったの…」

「あ、う、うん」

「ただ…
 わたしの部屋で…

 この一緒のベッドの上だけは……」

 そこまで呟いた瞬間…

 彼は、まるで、わたしの口を…

 言葉を塞ぐかの様に…

 キツく抱き締め、キスで…

 唇で…

 わたしの言葉を飲み込んだのだ。


「あ、い、いや、わかってるから…
 うん…

 全部私が悪いんだよ…

 無神経過ぎだよ…

 本当にすまない…」

 そして彼は…

 そう、謝罪してきた。




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