シャイニーストッキング
第12章 もつれるストッキング1 松下律子
153 ダック…
だからゆかりに、律子の残り香を察知される訳にはいかない。
それに昨夜、あんなに律子に対して心の想い昂ぶらせ、揺らぎ、愛情の確信を自覚したのだが…
まだまだゆかりに対する想いも強いし、失いたくは無い。
だから、余計に波風は荒げたくはないのだ…
つまりは…
優柔不断なのだ。
「そうなんですね、わかりました…
あ、とりあえずは今日は朝イチでの予定は無いですから、慌てなくても大丈夫ですから…」
と、さすが専属秘書らしく、今朝からの予定をサッと告げてきる。
「あ、うん、そうか、わかった…
だが、なるべく早く行くよ…」
「え、あ、はい」
「常務になったからっていきなり、偉そうに重役出勤したくはないからな…」
「あ、はい…そうですね…
でも、山崎のおじさまからはこれからは専属ハイヤーを手配する様に云われてるんですけど…」
「え、専属ハイヤーを?」
「はい、役員なんだから使わせろって…」
これは、本社の松本副社長とのいきなりの軽井沢ゴルフに誘われた時にも云われた事であった。
「うん…なんかガラじゃないんだよなぁ…
ま、この話しは会社でしようか」
「はい、わかりました」
律子はそう言うと…
「あ、わたしシャワーを…」
そう言い、シャワールームに向かう。
「ふぅぅ…」
私は煎れてくれたコーヒーを一口飲み、そしてそうため息をつき…
咄嗟に律子に対して嘘をついた自分に自虐する想いが浮かんでくる。
そして何気なくベッドに目を向けると…
『ふふふ…』
ヌイグルミのダックがベッドサイドで私を見て、笑った様な…
いや、ヤツの笑い声が聞こえた気がしたのだ。
『なんだよ、笑うなよ』
私は心の中でそう告げる。
『いや、尖るんだろう…
尖って行くって決めたんだろう?』
ヤツがそう問い掛けてくる、いや、そう聞こえる気がする…
『あ、ああ、尖って行く、生きるって決めたさ』
『じゃあいいじゃないか、律子もゆかりも大切にしなくちゃ』
『あ、ああ…』
『両方に上手くやって行くんだから、ウソくらいつけなくちゃな…』
ダック…
そうヤツは…
ヤツの目は…
私の心の鏡…
真逆の心を映す鏡である…
そして私の心を戒め…
また、押してくれるのだ。
だからゆかりに、律子の残り香を察知される訳にはいかない。
それに昨夜、あんなに律子に対して心の想い昂ぶらせ、揺らぎ、愛情の確信を自覚したのだが…
まだまだゆかりに対する想いも強いし、失いたくは無い。
だから、余計に波風は荒げたくはないのだ…
つまりは…
優柔不断なのだ。
「そうなんですね、わかりました…
あ、とりあえずは今日は朝イチでの予定は無いですから、慌てなくても大丈夫ですから…」
と、さすが専属秘書らしく、今朝からの予定をサッと告げてきる。
「あ、うん、そうか、わかった…
だが、なるべく早く行くよ…」
「え、あ、はい」
「常務になったからっていきなり、偉そうに重役出勤したくはないからな…」
「あ、はい…そうですね…
でも、山崎のおじさまからはこれからは専属ハイヤーを手配する様に云われてるんですけど…」
「え、専属ハイヤーを?」
「はい、役員なんだから使わせろって…」
これは、本社の松本副社長とのいきなりの軽井沢ゴルフに誘われた時にも云われた事であった。
「うん…なんかガラじゃないんだよなぁ…
ま、この話しは会社でしようか」
「はい、わかりました」
律子はそう言うと…
「あ、わたしシャワーを…」
そう言い、シャワールームに向かう。
「ふぅぅ…」
私は煎れてくれたコーヒーを一口飲み、そしてそうため息をつき…
咄嗟に律子に対して嘘をついた自分に自虐する想いが浮かんでくる。
そして何気なくベッドに目を向けると…
『ふふふ…』
ヌイグルミのダックがベッドサイドで私を見て、笑った様な…
いや、ヤツの笑い声が聞こえた気がしたのだ。
『なんだよ、笑うなよ』
私は心の中でそう告げる。
『いや、尖るんだろう…
尖って行くって決めたんだろう?』
ヤツがそう問い掛けてくる、いや、そう聞こえる気がする…
『あ、ああ、尖って行く、生きるって決めたさ』
『じゃあいいじゃないか、律子もゆかりも大切にしなくちゃ』
『あ、ああ…』
『両方に上手くやって行くんだから、ウソくらいつけなくちゃな…』
ダック…
そうヤツは…
ヤツの目は…
私の心の鏡…
真逆の心を映す鏡である…
そして私の心を戒め…
また、押してくれるのだ。