シャイニーストッキング
第12章 もつれるストッキング1 松下律子
154 出勤…
「じゃあ、わたしは先に行きますね」
すっかり出勤準備を整えたわたしは、そう彼、大原浩一常務に言って先に出ようとすると…
「あ、ちょっと待って、私も途中まで一緒に行くから」
彼はそう言ってきたのである。
途中まで…
それは、保険会社は新橋にあり、彼の自宅マンションは三軒茶屋にある…
「浜松町辺りまで一緒にタクシーで行こう」
そこでわたしは降りて、残り2駅を電車で行きなさい…
と、彼が言ってきた。
それはわたしには願ってもない、大変嬉しい提案である…
なぜなら、昨日は電車で通勤したのだが、久しぶりのラッシュアワーの混雑には辟易していたからであった。
そして二人でタクシーに乗る…
「あ…」
すると座席に座るなり…
彼がわたしの手を握ってきたのである。
「あ、いや、うん…」
彼は少し恥ずかしそうに照れ笑いを浮かべてきた。
しかしその彼の行為からは、昨夜の、あの深夜の携帯電話の着信に出ようとした無責任な行動に対しての謝罪と誤魔化しの意味の…
そして嘘、ウソの匂いがたっぷりとする手の感触であった。
だけどわたしは、昨夜のあのくらいの事などではもう揺るが無い…
なぜならば、昨夜抱かれ、あの抱擁に、彼からの本気の愛情を感じたから…
いや、確信したからである。
もう彼の心はガッチリと掴めている…
後は時間の流れと、この先の仕事の行方次第であるのだ。
そう、この先の仕事の流れ次第…
そのくらいあの彼女、つまり佐々木ゆかりの存在感は大きく、そして…
計り知れない影響力がまだまだあるから。
だからわたしが焦ってはダメなんだ…
焦らずに、じっくりと、ゆっくりと、秘書という立場をフルに活用し、利用して、もっともっと彼をわたしに魅き込ませ、惹かれさせていけばいいんだ。
「もう…」
だからわたしは彼の手を握り返し、頭をもたれかけ…
甘える仕草をする。
もうわたしは揺らがない…
わたしが一歩も二歩も彼女からリードしている確信があるから。
もう彼は…
大原浩一は、ほぼ、わたしのモノになっているから…
「じゃあ、わたしは先に行きますね」
すっかり出勤準備を整えたわたしは、そう彼、大原浩一常務に言って先に出ようとすると…
「あ、ちょっと待って、私も途中まで一緒に行くから」
彼はそう言ってきたのである。
途中まで…
それは、保険会社は新橋にあり、彼の自宅マンションは三軒茶屋にある…
「浜松町辺りまで一緒にタクシーで行こう」
そこでわたしは降りて、残り2駅を電車で行きなさい…
と、彼が言ってきた。
それはわたしには願ってもない、大変嬉しい提案である…
なぜなら、昨日は電車で通勤したのだが、久しぶりのラッシュアワーの混雑には辟易していたからであった。
そして二人でタクシーに乗る…
「あ…」
すると座席に座るなり…
彼がわたしの手を握ってきたのである。
「あ、いや、うん…」
彼は少し恥ずかしそうに照れ笑いを浮かべてきた。
しかしその彼の行為からは、昨夜の、あの深夜の携帯電話の着信に出ようとした無責任な行動に対しての謝罪と誤魔化しの意味の…
そして嘘、ウソの匂いがたっぷりとする手の感触であった。
だけどわたしは、昨夜のあのくらいの事などではもう揺るが無い…
なぜならば、昨夜抱かれ、あの抱擁に、彼からの本気の愛情を感じたから…
いや、確信したからである。
もう彼の心はガッチリと掴めている…
後は時間の流れと、この先の仕事の行方次第であるのだ。
そう、この先の仕事の流れ次第…
そのくらいあの彼女、つまり佐々木ゆかりの存在感は大きく、そして…
計り知れない影響力がまだまだあるから。
だからわたしが焦ってはダメなんだ…
焦らずに、じっくりと、ゆっくりと、秘書という立場をフルに活用し、利用して、もっともっと彼をわたしに魅き込ませ、惹かれさせていけばいいんだ。
「もう…」
だからわたしは彼の手を握り返し、頭をもたれかけ…
甘える仕草をする。
もうわたしは揺らがない…
わたしが一歩も二歩も彼女からリードしている確信があるから。
もう彼は…
大原浩一は、ほぼ、わたしのモノになっているから…