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シャイニーストッキング

第12章 もつれるストッキング1   松下律子

 173 目の力強さ

「はい、アナタ、あ、いや、大原常務がいますもんね」

 そう…
 この『新規プロジェクト』とこのコールセンター部に於ける『新規業務案件』という新たな実績でのわたしの成功によって、今後、沢山の敵と味方の存在感が露になるのは必至といえる。

 だが、わたしのバックには彼がいる…

 そして本社主流派閥の山崎専務も…

 わたしはそういう意味を込めて彼、大原常務に言った。

「あ、うん、そうだな、大丈夫だよ」

 すると、彼はすんなりそう応え、そして…
 
「よし、後は、今度は、私だ…」
 わたしの目を力強く見つめながらそう言ってきたのである。

「え?…」

 え、何だ、彼のこの目の力強さは?…
 彼の目を見た瞬間に、いや、一瞬、疑問を感じたのだが…

「いや、この新規プロジェクトと並行して…
 秘かにあの○△生命を立て直してやろうかなってさ…」
 すると、そう言ってきた。
 

「あ、だから越前屋さんなんだ…」

「あぁ、うん、そう、彼女の人脈をさ…」
 
 なるほど…
 あの○△生命に於ける彼女の存在感は抜群であった。

 ある意味、破綻寸前であった時期の、あの生保会社にとって彼女の存在感は…

 まるで最後の光明みたいな存在感であったらしいから…

 越前屋さん、彼女のバイタリティーとパワーと、そしてあの笑顔があれば…
 本当に、短期間で立て直せるやもしれない。

「新規プロジェクトと、そちらの立て直しも成功したら…」
 
 いや、あり得るかも?…
 そう思い、そしてワクワクし始めながら呟くと…

「うん…ヤバいぞ…」
 と、彼、大原常務が…
 本当に力強く、そしてキラリと目を輝かせてそう言ってきたのだ。

 え?…

 だが、わたしは、そんな彼の様子に…

 いや、力強く、そしてなんとなく自信たっぷりな感じの言葉に…

 一瞬、ホント一瞬だけど、違和感を感じたのである。

 え?…

 



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