テキストサイズ

シャイニーストッキング

第13章 もつれるストッキング2     佐々木ゆかり

 16 ロッキー…(2)

 だが、その頃のわたしは、そんな感じで周りからおだてられ、崇められていたのにも関わらず…
 あるひとつの悩みが湧いてきてしまっていたのであった。

 それは…

 セックスの快感、いや、絶頂感を感じたことが無いという事であった。

 わたしは大学に入学したその日の夜の、ナンパサークルの『新歓コンパ』で先輩と初体験をした…
 いや、済ませたのだ。

 それまでのわたしは高校卒業まで恋愛経験も無く、勉強と部活動だけの毎日であり…
 そして、大学入学したら全てを一気に経験し、ブレイクするという、いわゆる大学デビューをすると決めていた。

 だから、その通りに大学入学と同時に全てを経験し、大学デビューを果たした…
 のだが、そんな当時の目論見の予想以上に、わたしはモテ、もてはやされ、崇められてしまったのである。

 それはつまりはあまりにも速いペースといえ…

 気付いたら新宿のディスコクイーンと崇められ…

 そして周りの男達にモテまくり…

 それはある意味…

 ヤリまくり、いや、ヤラれまくりの軽い女でもあるという事でもあり…
 いいや、わたし自身、高校時代までの沈黙とガマンを取り返そうという、心の弾け、開放感の表れとも云えたのだ。

 だが…

 ある程度遊び、男の経験を積み、ふと、心に余裕が出来た時に、セックスに於いて、ある程度の快感は感じるのだが、いわゆるオーガズム、絶頂感という最高の昂ぶりを感じた事が無い…
 と、気付いた。

 そしていつしかわたしは…

 ただヤっているだけ…

 男と寝ているだけ…

 そんな空虚な想いに陥り、そしてその不完全な快感の悩みを抱くようになっていたのだ。

 だが、さすがに、そんな想い、悩みを周りの取り巻きの男達に話せる訳でもいかず、ましてや同性の女の子にも話せる様な存在は皆無であったから…
 一人、そんな不惑な不満を心に秘め、いや、秘めざるを得なかった。

 そしてまた、当時のディスコ遊びの自然な流れとして… 
 わたしは横浜を゙経由しての渋谷デビューを゙果たしたのだ。

 そこでその渋谷『クラブCANDY』でロッキーこと轟勇斗と出会ったのである…
 



ストーリーメニュー

TOPTOPへ