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シャイニーストッキング

第13章 もつれるストッキング2     佐々木ゆかり

 101 敦子の想い(38)

 わたしは、そんなママの言葉の後押しにより内心のこの悲しさと哀しさ、そしてそんな想いに相反するこのモヤモヤとした不惑さと心とカラダの揺らぎの元が分かった様な気持ちになり…
 いや実は、本当は、ううん、心の奥深くでは分かっていたのだと思う。

 今更まゆみサマとの関係はどうにもならない事は分かっていたし、ある程度は開き直れてはいたのだが…
 ただ、その開き直るという想い、思い、気持ちが、自分自身、いや、まゆみサマに対しての裏切り行為だと感じ、考えてしまい、そして良心という心の想いが許せないでいたのだと。

『でもね残されたモノは生きて、ううん、この先も生きていかなくちゃ、いや、生きて行くのよ…
 だから前向きにならないと…』
 そんなママの言葉がダメ押しとなったのだった。

 わたしはこの『レズビアンバービビアン』でバイトをする事にしたのだ…

 さっきまでのわたしは本当に、心からこのカラダの疼き、心の揺らぎが許せなかったのだが、このママの言葉により全て、いや、全部ではないのだけれど開き直れ、前向きになれたのである。

『若いんだからさぁ、カラダの疼きはガマンできないわよぉ…』
 だからわたしはしばらくここでバイトをしながら、パートナーを探す事に決めたのだ。

『ぜったいにまーちゃんはそう思っているはずだから…』
 そんなママの言葉に心を許す、いや、甘える事にしたのだ。

 まゆみサマに対する裏切りなんかじゃない、わたしにはまだまだ、いや、これからの未来があるんだ…
 だからまゆみサマの為にも前向きに生きなくちゃ…
 と、自分に都合良く考え、思う事にしたのである。

 じゃないと、この若いカラダの疼きや揺らぎが治まりそうがなかったのだ…

『あっちゃんならばさぁ、キレイだからぁ、モテモテよぉ…』

 このレズビアンバーはある意味、ビアン同士の出会いの場であった…
 お互いの嗜好のパートナーを求め、来店し、交流を深め、お付き合いを求める、そんなバーであった。

 そしてママの云う通り、わたしはモテモテの存在となったのだが…

 しかしわたしはやはりまゆみサマが忘れられないし、いや違う、まゆみサマという存在感が心から徐々に薄らいでいくに従ってある想いが…

 ずうっと心の奥深くに隠していた想いが、いや、存在感が顔を出してきたのだ…




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