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シャイニーストッキング

第13章 もつれるストッキング2     佐々木ゆかり

 104 敦子の想い(41)

 そのわたしの中の隠されていたビアン嗜好の指向とは…

 完全なネコ役でもなく、かといってタチ役でもない、つまり、わたしは何に魅せられ、惹かれ、ビアン嗜好の性癖を持ったのか?
 という事に通じる訳であり…

 そしてその答えは…

 ゆかりお姫さまという存在感を心から求め、切望し、羨望し、そして恋慕をしているという想いがわたしの原点であるという事であった。

 それはつまり、わたしの相手、ビアンのパートナーに求める想いの全てが、ゆかりお姫さまを追い求めている、いや、いたという事が分かったのである。

 そうわたしはあのゆかりお姫さまの、いや、彼女の様な…

 知的で…

 理知的で…

 凛とした美しい女王サマであり、お姫サマ然とした存在感に心惹かれ、魅かれ、そして常にその想いを無意識に求めていたという事なのだ。

 もちろん最初はそんな想いなんて意識さえしなかった…

 ただ、ただ…

 まゆみサマというわたし自身にとっての絶対的な存在感を失った事の悲しみ、哀しみの心とカラダの空虚感を、いや、どちらかといえば若い自分自身のカラダの疼きを埋めたくてパートナーを求めていたのであった。

 そして当時のわたしは流行りのワンレングスのヘアスタイルをし、より女を、いや、より女子大生を意識したファッションをしていたから…
 だからほぼタチ役からの、つまりはネコ役のより女らしさの存在を求める相手ばかりから誘われていたのだ。

 だけどそんなビアンのバランス的な事など全く意識をしていなかった当時のわたしには…
 それにビアン嗜好の指向の自覚の意識さえも考えた事の無い、それまでほぼまゆみサマという存在に全てを委ねて心もカラダも任せていたわたしにとっては… 

 それはより女を求めてくる男を意識したタチ役的なパートナー相手に対しては…

 惹かれ、魅かれるという事が、いや、興味さえ持てないという事が無かったのである。




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